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同一労働・賃金 非正規の底上げ前提に

 安倍晋三首相が1億総活躍社会を進めるために「同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と意欲を示している。パートや派遣など非正規であっても正社員と同じ内容の仕事をしている場合は同じ賃金にするのが、同一労働同一賃金だ。

     具体的な内容や方策について首相は説明していないが、正社員との格差が著しい非正規の賃金底上げが前提でなければならない。

     この制度が定着している欧州各国では、職種に応じた時間比例の賃金が産業別の労働協約によって整備されている。年齢や勤続年数、性別に関係なく、職種と能力によって賃金が決まるため、正規と非正規の格差が基本的にはなく、転職も容易で雇用の流動性は高い。

     一方、日本は新卒一括採用、終身雇用、年齢や勤続年数が増すにつれ右肩上がりになる年功序列賃金が多くの企業で定着している。非正規社員の賃金を正社員と同じにするのであれば、その分の人件費を企業が負担するか、従来型の賃金体系を廃止し正社員の給与水準を下げる必要がある。

     また、正社員に対して経営者は長時間の残業や突然の出張、転勤、配置換えなどを命じられる慣行が定着しており、その時々の経済情勢や社内事情に応じて自由に使える。これが正社員の長時間労働を招いている。欧州並みの制度が導入されると、長時間労働の解消には効果がある一方で、経営者は社員の仕事を勝手に変更することができなくなる。

     「同一労働同一賃金」といっても制度の内容次第で、経営者と労組、正規と非正規のそれぞれに異なる影響が出てくるのだ。

     昨年、同一労働同一賃金法が国会で成立し施行された。当初は「待遇の均等の実現」となっていたが、与党側の要請で「均等および均衡の実現」に修正された。「均衡」は正規と非正規間の格差の存在を前提にするため、実効性が薄まったと批判が起きている。

     厚生労働省は「正社員転換・待遇改善実現プラン」を1月末に発表し、非正規社員の均等・均衡待遇や差別禁止の指導、周知・啓発を図ることを明記したが、具体的な達成目標や方策については示されていない。

     非正規社員は安倍政権の下で増え続け、2000万人を超えるまでになった。そのうち7割が年収200万円以下という。

     経済協力開発機構(OECD)から正規社員との賃金・待遇格差を是正するよう日本政府が勧告を受けたのは2008年だが、格差はますます広がっている。働いても貧困から抜け出せないワーキングプアの解消は待ったなしだ。

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