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証言でつづる戦争

2.26事件 千の証言から 第1部/1(その1) 焼け落ちた祖国

持ち帰った哈爾浜学院の校旗の燃えかすを前に渋谷三郎について語る佐藤挙男さん=宮崎県綾町で2015年12月

 包み紙を開いていくと、朽ち果てそうなひも状の燃えかすが出てきた。終戦直後、落日の満州で燃やした大学の校旗のふさだという。1年だった佐藤挙男(たかお)(87)=宮崎県綾町=は、燃えかすに秘められた話を語り始めた。近代史上最大のクーデター未遂事件である2・26事件に関わった元エリート軍人の物語である。

 終戦翌日の1945(昭和20)年8月16日昼、満州国立大学哈爾浜(ハルビン)学院で、校旗を燃やす閉校式がひっそり行われた。集まったのは学生十数人。いげたに組んだ丸太の上に校旗を置き点火する。旗は音を立てて燃え上がり、紅蓮(ぐれん)の炎は満州の空にかけ上った。炎のそばで微動だにせず、敬礼し続ける院長の姿を、佐藤はいまも忘れない。

 渋谷三郎。首都を警備する陸軍歩兵第3連隊の連隊長だったが、36年2月26日の2・26事件で人生が狂…

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