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「閉鎖空間」の内部公開

ヤンゴンの中心街にある英植民地時代の旧ビルマ政庁舎=春日孝之撮影

 【ヤンゴン春日孝之】ミャンマー最大都市ヤンゴンにある英植民地時代の歴史的建造物「旧ビルマ政庁」の内部が毎日新聞に公開された。新政権を担うアウンサンスーチー氏の父で独立運動の英雄アウンサン将軍が暗殺された場所でもある。「大英帝国の権威の象徴」として威容を誇ったビクトリア朝の建物は、市街中心にありながら広さは東京ドーム1.4個分。長くフェンスと鉄条網で囲まれた「閉鎖空間」だった。

 「歴史に『もし』は付きものです。父(アウンサン将軍)と6人の閣僚が暗殺された日を境に国家指導部は一変しました。事件がなければこの国の歴史は全く違っていました」

 独立(1948年)を半年後に控えた47年7月19日の暗殺事件。スーチー氏はかつて毎日新聞にそう語った。旧ビルマ政庁は国家の悲運を刻み込んでいる。

 建物は赤レンガ造りでコの字形の配置。英国が1889年に着工し、15年余をかけて完成させた。歴史遺産の保存にかかわる地元NGOは、東南アジアにある英統治下の建物の中で、その価値と美観において「最高峰」に位置付ける。

 旧政庁は独立を機に政府や議会の合同庁舎となった。1962年の軍事政権発足で一般の立ち入りは禁止。2005年のネピドー遷都後は治安部隊が一部を宿営地とした以外、大部分が放置され、天井や壁が崩落するなど老朽化も伴い荒れ放題だった。

 そして今、美術館などへの転用に向けた修復作業が始まった。一任されたフランス人デザイナーで今回の案内人、パトリック・ロバート氏(75)は「今も庭先でキングコブラを目撃する」と笑う。

 修復案は民政移管(11年)後に浮上した。当初はホテル案が有力だったが白紙になった。国民の間から「アウンサン将軍の魂が眠る聖なる場所になぜホテルか?」と反対論が噴出したからだ。14年末、旧軍政幹部の親族が経営する企業が美術館を核にした修復案を提示し、政府から管理運営権を取得した。

 アウンサン将軍が銃弾に倒れたのは西南棟2階の会議室。閣議中、武装した4人が乱入し、将軍は即死。32歳だった。

 窓から西日が差し込むその部屋に入ると、壁や床に無数に残るという銃痕は木の羽目板などで隠され、惨劇はうかがい知れない。壁際に祭壇がある。将軍の肖像も掲げられ、水や生花が供えられていた。

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