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春節直前の惨事 寒波、一刻を争う

地震で崩壊したマンションで救出作業にあたる警察、消防の隊員たち=台湾南部の台南市で2016年2月6日、鈴木玲子撮影

 【台南(台湾南部)鈴木玲子】「まだ中にいるはずだ」「早く助けて」−−。6日未明に台湾南部を襲った地震は、家族らがだんらんを楽しむ8日からの春節(旧正月)直前に起きた。大半は就寝中だったとみられ、倒壊した16階建てのビルでは、今も100人以上が家族と連絡がとれていない。施工不良を疑う声も出るなか、不明者の家族らは、サーチライトの下で夜通し続く救出作業を祈るような表情で見守った。

 台南市中心部の台南駅から東北に約6キロ。永康区の住宅街では、16階建てビルが広い道路に覆いかぶさるように崩れ落ちていた。「あのがれきの下に、俺のいとこがいるんだ。早く助けてやってほしい」。がれきのそばで、王駿騏さん(34)が声を震わせた。

 下敷きになっている12階の部分にいとこで20代の陳冠宇さんが住んでいた。「春節だからと連絡を取り合い、きょうは一緒に食事をしようと約束していたのに。きっと隙間(すきま)で救助を待っているはず」

 ビルの低層階には家電量販店などが入っており、中高層階は集合住宅だったという。

 「突然の揺れで、反応することもできないうちに部屋がビルごと崩れた。まずは子供をかばうことを考えた」。台湾メディアによると、ビル11階部分の自室から夫と子供2人とともに救助された看護師(37)はそう振り返った。閉じ込められていた4時間近くの間、「泣かないで」と1歳半と3歳の子供を励まし続けたという。

 捜索現場では、救助隊員がクレーン車やスコープを使ってビル内部に人がいないか調べていく。「1人、いたぞ」。大声が現場に響き、若い男性が裸足のままで担ぎ出された。安堵(あんど)よりも憔悴(しょうすい)しきった様子だ。その後、若い女性が救出された。「子供は?」。もうろうとした意識の中、救急車に運ばれた担架の上で声を絞り出した。

 次々と生き埋めになっていた人が救出される。だが、寒波の影響で現場周辺では夕方になり気温が急速に下がり、風も強い。救助活動は時間との闘いだ。

 近所に住む女性は「最初は横揺れが続き、その後上下に振れた。10秒以上は続いた」と話した。だが、周辺の建物は無事で、近所の住民は「建材に問題があるのでは」と疑問を口にした。実際、がれきのコンクリートには複数の料理油の空き缶が埋め込まれているのが見つかった。

 台湾メディアによると、現場を視察した建築専門家は、ビルの鉄筋の組み方に「深刻な問題があった」と話し、手抜き工事など人為的な原因による可能性があると指摘した。不動産関係者からは20年以上前の施工当時、経営難だった建築業者が完工を急いだとの証言も出ている。

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