メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

死者集中の倒壊ビル、手抜き工事の可能性

 【台南(台湾南部)鈴木玲子】台湾南部を襲った地震の死者は、台南市永康区の雑居ビルに集中した。周辺の民家には大きな被害がなく、倒壊したビルの異様さが目立つ。ビルのコンクリート片からは一部で油などの缶や発泡スチロールとみられる白色の塊がむき出しになっていた。専門家からは「手抜き工事」や構造上の欠陥の可能性を指摘する声も出ている。

 倒壊したビルは地上16階、地下1階建て。上から見ると「コ」の字形で、道路に面した側を下にし、1〜2階部分から倒れた。低層階には家電量販店などが入り、6階以上が集合住宅だった。下敷きになった居住区の住民らが取り残されているとみられている。

 専門家からは建築に問題があった可能性を指摘する声が相次ぐ。ビルが建設されたのは20年余り前。「当時、経営難だった建設業者がビルの完成を急いでいた」(台湾メディア)という。エレベーターの故障や水漏れも頻発していた。業者は既に倒産している。

 台湾メディアによると、現場を視察した専門家は鉄筋の組み方の欠陥やビルの構造的な脆弱(ぜいじゃく)性を指摘する。柱や梁(はり)に入っている鉄筋のうち、「主筋」と呼ばれる鉄筋同士の接続部分である「継ぎ手」の施工不良が見つかった。通常ならネジで固定されなければならないが、ネジが完全に締まっていないケースがあったという。

 また、主筋がバラバラになるのを防ぐための鉄筋「あばら筋」の巻き方も甘かった。本来なら135度の角度で曲げてフック状にしなければならないが、このビルでは90度しかなく揺れで外れやすくなっていた。

 さらに、倒壊したビルの1階部分は道路に面した部分に外壁がなく、主に柱だけで支える「ピロティ構造」だった。そのため、1階部分と2階以上の部分との強度バランスが悪く、大きな揺れに対して弱い構造になっていたという。

 近所に住む男性は「エレベーターに乗ると、グラグラと揺れたこともあった」と明かす。倒産した業者の社長は、2度も名前を変えているとの情報もある。

 別の住民男性は「ここは元々地盤が弱い。高層ビルを建てて大丈夫かとうわさしていた。住んでいるのは事情を知らない、外から来た人ばかりだ。地元でこのビルの部屋を買う人はなかった」と漏らす。

 検察当局は建設時に違法行為がなかったか捜査する方針を示している。台南市の頼清徳市長は「証拠を保全する」と表明。だが、救助活動が優先されているため、原因解明にはなお時間を要するとみられている。

関連記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 英EU離脱 公約「うそ」認める幹部 「投票後悔」の声も
  2. 捕獲の子グマ ツキノワグマではなくタヌキだった 青森
  3. 介護家族 脳性まひの息子、首絞めた朝 愛した44年、母絶望
  4. 介護家族 殺人事件の「告白」/5 母に「楽になろうか」 11年、1日も休まず
  5. 介護家族 殺人事件の「告白」/3 昼夜叫ぶ夫を「楽に」 トイレ、1日数十回

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]