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「電波停止」 波紋広げる理由とは

放送法・電波法を巡る主な政府答弁

「総務省の従来見解」か「表現の自由を損なう」か

 放送局の免許権限を持つ高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合、電波停止を命じる可能性に言及したことが波紋を広げている。総務省の従来見解との見方もある一方、局の存廃につながる権限行使に国会で繰り返し触れたことに、憲法学者や放送業界から「表現の自由を損なう」との批判が出ている。

 8日の衆院予算委員会で高市氏は、政治的公平などを規定する放送法4条の違反で電波停止をしないか確認した民主党の奥野総一郎氏の質問に「行政指導しても全く改善されず繰り返される場合、何の対応もしないと約束をするわけにはいかない」と答えた。

 翌9日の予算委でも民主党の玉木雄一郎氏に「1回の番組で電波停止はありえない。私が総務相の時に電波を停止することはないが、将来にわたって罰則規定を一切適用しないことまでは担保できない」と答弁した。

 これに対し、ある民放関係者は「総務相が電波停止をちらつかせることは、放送の自由度を狭める雰囲気を作っているとしか思えない」と警戒する。

 一方、別の民放関係者は「これまで政府が示してきた方向性を改めて示しただけ」とみる。ただ、「制作現場では政治的な問題を取り上げる時、片方の意見だけを取り上げないよう、かなり気を使っている」と明かす。

 放送法4条は「政治的に公平であること」「放送は事実をまげないですること」など放送事業者が番組編集上守るべき規則(番組編集準則)を定める。放送法違反に対しては、同法174条が総務相に業務停止命令の権限を与え、電波法76条は電波停止命令ができると規定している。

 総務省の元事務次官が書いた放送法解説書は、放送法違反が明らかで、放送が公益を害し将来に向けて阻止する必要があり、さらに同様の事態を繰り返し再発防止の措置が十分でない場合に停止できるとする。

 2007年に増田寛也総務相(当時)が答弁で電波停止に触れ、民主党政権でも10年に平岡秀夫副総務相(同)が「極めて慎重な配慮で運用している」と述べた。菅義偉官房長官は9日の記者会見で高市氏について「当たり前のことを答弁したに過ぎない」と語った。

 しかし、憲法学者の間では、放送法4条の番組編集準則は放送局の「倫理規定」で法規範ではないとの解釈が通説。4条を根拠に放送に干渉すれば、表現の自由を保障する憲法21条に抵触するとの考え方が根強い。

 放送法に詳しい鈴木秀美・慶応大教授(憲法、メディア法)は「今回の発言は大枠で従来の総務省の解釈に沿っているが、運用上のハードルを下げているともとれる。繰り返し答弁すれば放送事業者への威嚇になり、表現の自由を損なうことになる」と話している。

 日本民間放送労働組合連合会は10日、「放送局に対する威嚇・どう喝以外の何ものでもない」と撤回を求める声明を出した。【青島顕、丸山進、須藤唯哉】

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