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減収マイナス金利…警戒呼ぶ負のスパイラル

 【ロンドン坂井隆之】世界的な株安が続く中、欧州銀行株の急落ぶりが際立っている。世界経済の減速による収益減に加え、資源関連融資の焦げ付き懸念やマイナス金利による運用益の低迷が、三重苦となって経営の重しになっているためだ。欧州銀の株安が市場の不安をあおる悪循環となっており、世界の市場で警戒感が強まっている。

     今月に入ってから11日までの欧州銀の総合株価指数の下落幅は16%に達しており、債務危機時の2012年7月以来の安値となった。12日は買い戻す動きが出て反発したものの、荒い値動きが続いている。

     一連の売りの発端となったのはドイツ最大の金融機関・ドイツ銀行。1月28日に発表した15年決算が約68億ユーロ(約8600億円)の巨額赤字となり、不安心理に火を付けた。同行は投資銀行部門のリストラで退職金などの費用がかさむうえ、相次ぐ不祥事による訴訟費用も抱える。また、自己資本に充当している偶発転換社債(CoCo債)は、自己資本が目減りすると利払いが停止される特殊な債券のため、「巨額赤字が続けば利払いが打ち切られる」との臆測もパニック売りにつながった。

     同行のクライアン頭取が8日に「利払い原資は十分ある。経営は堅固だ」と表明してやや沈静化したものの、株価は月初から11日までに2割近く下落した。同様に巨額赤字を計上したクレディ・スイスや、不良債権処理の遅れが目立つイタリアのウニクレディトなども11日までに売り込まれた。

     欧州の銀行が市場の標的になる背景には、経営体力の弱さがある。強力な投資銀行部門を持ち、リーマン・ショック後に一気に不良債権処理を進めた米国の銀行に比べ、欧州銀は12年まで債務危機が続いたことで収益力回復が遅れ、今も南欧を中心に1兆ユーロ(約127兆円)規模の不良債権を抱えている。そうした中で、資源関連や新興国向けの投融資の焦げ付きへの懸念や、欧州中央銀行(ECB)などのマイナス金利に伴う運用収益悪化への懸念が、欧州銀の経営への不安を助長している。

     ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は11日、「欧州の金融安定制度は整備され銀行資本も増強されており、数年前とは異なる」と危機的状況を否定。市場でも「リーマン・ショックや欧州債務危機のような信用危機に至るほどの状況ではない」(英バークレイズ)との見方が大勢だが、世界経済の見通しが回復しない限り、欧州銀への懸念払拭(ふっしょく)は難しそうだ。

    偶発転換社債(CoCo債=ココ債)

     主に金融機関が発行する転換社債の一つ。自己資本比率が一定水準を割り込むなどの条件に達すると、強制的に株式に転換され、利払いが停止される。リスクが高い代わりに、利回りは通常の社債より高い。中核的な自己資本などに充当できるため、08年の金融危機後、欧州の銀行を中心に発行が増加した。CoCoはContingent Convertibleの略称。

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