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機構「効果1兆円」 鴻海は有機EL量産化

 経営難のシャープに対して、台湾の電子機器受託製造大手・鴻海(ホンハイ)精密工業と日本の官民ファンド・産業革新機構が提案している支援策の詳細が13日わかった。鴻海は次世代の有機ELパネルを量産に持ち込み、経営再建の起爆剤にする方針。革新機構は出資のほか追加融資枠の設定などで、支援効果は総額1兆円に上ると主張している。シャープ関係者が明らかにした。シャープは鴻海案を軸に検討しているが、機構は巻き返しの余地があると見ている。【宇都宮裕一、横山三加子】

     鴻海案は、出資や融資などの総額で7000億円規模を拠出し、大部分を成長資金に投じる計画。このうち1250億円程度は、シャープと鴻海が共同運営する液晶パネル製造の旧堺工場の株式と土地の買収に充てるとみられる。

     このほか、シャープの技術を活用して、高精細で省エネの有機ELパネルを量産し、米アップルへの納入を目指す。中国の電子商取引最大手アリババグループと協力し、シャープの液晶テレビや白物家電をネット販売する計画もある。

     革新機構案は、シャープ本体に成長資金3000億円を出資するのが柱。このうち1000億円はシャープが分社化する液晶事業に充て、将来的には革新機構が筆頭株主の中小型液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)と統合させる。液晶事業で設備投資など追加の資金が必要になった場合に備えて2000億円の融資枠を設ける。

     国内メーカーが持つ白物家電の次世代技術をシャープに集約し、国際競争力を持った家電メーカーとして成長させる戦略も提示している。具体的には、東芝や日立製作所、富士通などから、家電などをインターネットでつないで利便性を高める技術IoT(モノのインターネット)の関連事業を買収する方針で、これに1000億円をかける。シャープ自体のIoT関連の研究開発強化にも1000億円を投じる。旧堺工場の株式は売却し、1500億円を調達する。

     金融機関の責任も明確化するため、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力取引行などが保有する優先株計2250億円は消却してもらい、優先株の配当750億円がなくなる。主力行には1100億円の債務を株式に替えてもらい、金利負担を軽減させる。その上で「家電、液晶事業の経験豊かなプロ経営者を確保し、新たな体制に移行」するシナリオを描き、高橋興三社長らシャープの現経営陣に代わる人選を進めていることも明記した。

     シャープは現在、鴻海案について「(提案)内容の精査で、労力をより多くかけている」(高橋社長)状況だ。鴻海案の方がシャープに直接つぎ込む額が大きく、事業の切り売りはせずに一体で再建するとしているためだ。ただ、鴻海の郭台銘会長は5日のシャープ経営陣との会談後、太陽電池事業の売却や中高年のリストラなどを示唆する発言をしており、協議は曲折も予想される。

     革新機構は「引き続きシャープへの提案を続ける」(幹部)としている。

    シャープに対する支援策の概要

    鴻海精密工業案                

    ▽総額7000億円を拠出

    ▽1250億円程度で旧堺工場の株式と土地を取得

    ▽有機ELパネルを量産し、アップルなどに販売

    ▽アリババと協力し、白物家電をネット販売

    革新機構案                  

    ▽成長投資としてシャープ本体に3000億円を出資

    ▽液晶事業に投資し将来的にはジャパンディスプレイと統合

    ▽IoTメーカーを目指し他社から関連事業を買収

    ▽液晶事業向けの融資枠2000億円を設定

    ▽旧堺工場の株式売却で1500億円を調達

    ▽主力行などが保有する2250億円の優先株は消却

    ▽主力行には新たに1100億円の金融支援を要請

    ▽優先株の配当減750億円

    ▽経営陣を刷新

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