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社説

対北朝鮮制裁 中国の決断が遅すぎる

 北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射以降、日米韓3カ国が相次いで独自の制裁に動き出した。だが、肝心の国連安全保障理事会は意思統一が遅れ、足踏みを続けている。

     日本と韓国は、同じタイミングでそれぞれの制裁措置を発表した。

     日本は2014年に解除していた制裁の復活だけでなく、北朝鮮への送金や船舶の入港をより厳しく制限する追加措置を盛り込んだ。

     北朝鮮は日本への報復として、拉致問題の再調査中止と調査を担当する「特別調査委員会」の解体を表明した。「ストックホルム合意」が一方的に破棄された形になる。

     再調査を待ち望む被害者家族らの失望は察するにあまりある。北朝鮮の不誠実な態度は許されない。

     ただし、北朝鮮が国際信義に反して核・ミサイル開発に突き進む中、拉致問題だけの進展を期待するのは難しくなった。ここは安全保障問題と併せて辛抱強く解決に向けた道を探る覚悟が必要だろう。

     韓国は自国企業124社が進出していた北朝鮮南西部にある開城(ケソン)工業団地の操業中断に踏み切った。

     この措置には、韓国内でも金大中(キム・デジュン)元大統領の流れをくむ野党から強い批判が出ている。工業団地はこれまで、南北経済交流の象徴として聖域視されてきたからだ。

     朴槿恵(パク・クネ)政権はさらに、在韓米軍への終末高高度防衛(THAAD)ミサイル配備も進めることにした。従来は中国への配慮から慎重姿勢を取ってきたものだ。

     米国でも、北朝鮮への経済制裁を強化する法案が可決され、近くオバマ大統領が署名する見通しだ。北朝鮮との取引に関わった第三国の企業も新たに制裁対象となる。中国企業を念頭に置いた規定だ。

     日米韓の動きは、国連安保理決議に基づく厳しい制裁措置に消極的な中国に方針転換を迫るものだ。

     中国は、北朝鮮の崩壊につながるような混乱を恐れている。それが分かっているから、最近の北朝鮮は中国の足元を見透かすような挑発を繰り返すようになった。

     北朝鮮の扱いをめぐって日米韓が結束して中国とにらみ合う構図は、決して中国の利益にはならない。日米韓の側も北朝鮮の崩壊を望んでいるわけではない。北朝鮮の暴発は周辺国すべてにとって悪夢である。

     北朝鮮は核・ミサイル開発を生き残りの道具と考えているため、制裁が問題解決に直結するとは限らない。ただ、国際社会が結束して圧力をかけることなしに、北朝鮮が交渉に応じる展望も見いだしがたい。

     そのためには中国の早急な決断が必要だ。常任理事国としてこれ以上結論を先送りすべきではない。

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