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政官の接触記録 法の要請を無視するな

 国の官僚が国会議員と接触した場合、相手や会見の内容について記録を作ることが国家公務員制度改革基本法で定められている。「政」から「官」への不当な介入を防ぐために2008年に施行された法律だ。

     ところが、毎日新聞の情報公開請求で、国の全11省が今年度、政官接触記録を「作成していない」か「保有していない」ことが判明した。

     官僚側のずさんな運用によって、制度が骨抜きになっている。立法や行政の意思決定にかかわる記録の保存は、民主主義が適切に機能しているのかを検証するために欠かせないものだ。制度の原点に立ち返り、透明性のある運用をすべきだ。

     とりわけ、内閣法制局の横畠裕介長官が政官接触記録を残していなかった問題の根は深い。横畠長官は一昨年、集団的自衛権の行使容認に伴う憲法9条の解釈変更をめぐり、与党である自民党や公明党幹部と非公式に協議していた。戦後の安全保障法制の大転換に関わる政治課題だ。

     与党の有力政治家がその意思決定にどう関わったのか、検証が必要だ。だが、記録がなければ、責任の所在はうやむやになってしまう。

     法制局は、公文書管理法の趣旨に反し、憲法解釈変更についての内部議論の記録も残していなかったことが分かっている。記録は歴史的文書であり、国民共有の知的資源だ。二重の意味で、法の精神に反する。

     政官接触記録の制度化は、小泉内閣時代、当時の鈴木宗男衆院議員が外務省へ介入したのがきっかけだった。内閣の一員でないのに省庁に影響力を及ぼす「族議員」の力をそぎ、政策を決める内閣と実行する官僚の役割を明確化する狙いもあった。

     だが、情報公開の結果を見れば、複数の省が法施行後、一通も記録を作っていない。「不当な要求があった場合だけ記録を残す」と、法を狭く解釈している。内閣と与党の有力者が一体となって政策を決めていく日本の政治風土を背景に、官僚側の政治家への配慮が垣間見える。

     第2次安倍内閣は発足時に、「基本法と公文書管理法に基づく政官接触記録の作成、保存、公開に適切に対処する」と申し合わせている。公文書管理法を入れた点について「政策決定過程をきちんと残しておくべきだとの精神を踏まえている」との担当閣僚答弁もある。

     記録がないことは、この申し合わせにも反していることになる。

     記録の公開の時期などについて定めがないため、記録を残さない方向に意識が働いている可能性がある。仮に現行法に不備があるのならば、改正の議論をすればいい。官僚の判断でなし崩し的に法を有名無実化している現状は許されない。

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