メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

「小幅ベア」交渉が本格化

富士重工業の吉永泰之社長(左)に春闘の要求書を提出する同社労働組合の山岸稔委員長

 春闘相場に大きな影響力を持つ大手自動車メーカーの労働組合は17日、2016年春闘の要求書を一斉に提出した。各労組は給与水準を底上げするベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分として月3000円を要求。経営側からは3年連続のベア実施を前向きに検討する声も出ている。ただ、年明け以降、円高や株安が進み、景気の先行きに対する警戒感も強まっている。3月16日の集中回答日に向け、前年より小幅なベアで労使が綱引きすることになりそうだ。【永井大介、竹地広憲、高橋慶浩】

    自動車、半減の3000円要求

     「賃上げを通じてデフレから完全に脱却し、経済の好循環に向けて良い流れを作っていきたい」。要求書の提出後、トヨタ自動車グループの労組で構成する全トヨタ労働組合連合会の金子晃浩事務局長は今回の春闘の意義を強調した。

     自動車業界は産業の裾野が広く、自動車部品会社なども含めた産業別労働組合「自動車総連」には約77万人が加盟。春闘相場全体に大きな影響を与えてきた。15年の春闘では大手各社の労組が月6000円のベアを要求。日産自動車が5000円、トヨタが4000円を回答し、賃上げの流れを主導した。

     16年3月期決算では北米市場の販売好調や昨年までの円安などを背景に、トヨタや日産、富士重工業の最終(当期)利益が過去最高を更新する見通し。トヨタなどの経営側からは「利益が出れば、従業員に還元する。要求を受けてベアを実施する方向で検討する」とベア自体には前向きな声が出ている。

     しかし、年明け以降、急激な円高が進み、輸出採算などが悪化して業績を下押しする恐れがあるほか、新興国を中心に世界経済の先行きでも不透明感が強まっている。経営側は15年の春闘のような高水準の回答を出しにくいのが実情だ。

     また、16年春闘で労組側はベアの要求額を昨年の半分の月3000円にとどめた。控えめな要求にした背景には、経営体力のある大手と、中小メーカーで格差が広がらないよう配慮したという事情がある。ただ、市場環境の悪化で大手が小幅なベアにとどまるだけでなく、労組側が重視する「中小の底上げ」も広がりを欠く懸念がある。

     日本総合研究所の山田久・調査部長は「年明けからの金融市場の混乱で、景気の先行きに不透明感が漂っている。全体として『守り』の姿勢が強く、このままでは賃上げに後ろ向きな状況になりかねない」と指摘する。政府が経済界に積極的な賃上げを要求する「官製春闘」は今年が3巡目。賃上げムードが停滞すれば、個人消費の低迷が長引くことにもなりかねない。

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 相模原殺傷 尊厳否定「二重の殺人」全盲・全ろう東大教授
    2. 知的障害 通所女性が中絶 「望まない妊娠、再発防止を」 20代男女、施設内で性行為 施設側、認識の甘さ認める /神奈川
    3. 無尾翼機 ナウシカ「メーヴェ」よ 白く美しく 大空舞え
    4. 相模原殺傷 容疑者「ヒトラーの思想が降りてきた」
    5. 相模原殺傷 神奈川知事「申し訳ない」 全国知事会議で

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]