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対中結束に温度差…南シナ海巡り

 【チェンライ(タイ北部)岩佐淳士】南シナ海問題を巡り対中国で「結束」を求める米国だが、東南アジア諸国連合(ASEAN、加盟10カ国)内の温度差は大きい。米ASEAN首脳会議で顔をそろえたとはいえ、中国の南シナ海の軍事化に危機感を強めるフィリピン、ベトナムと、中国の経済支援に頼るラオス、カンボジアの思惑はそれぞれで、同床異夢ぶりが露呈した。

 首脳会議で16日に採択されたサニーランズ宣言は、「航行の自由」を明記、ASEANを取り込んで中国をけん制しようとする米国の意図が反映された。

 しかし、事務レベルで行われた水面下の協議では、表現を巡り意見が対立した。ASEAN外交筋によると、フィリピンやベトナムが中国による人工島造成を念頭に「南シナ海の非軍事化」を明記するよう求めたが、カンボジアとラオスが反対し、「南シナ海」の部分は削られた。南シナ海問題で中国を国際仲裁裁判所に訴えているフィリピンが求めた「仲裁による紛争解決」に関する記述も、カンボジアなど6カ国に拒まれた。

 南シナ海問題での立場で、ASEAN各国は三つのグループに大別される。一つは中国との領有権争いが深刻化するフィリピン、ベトナムで、「アジア重視」を掲げる米国と歩調を合わせる。

 これに対し中国と親密とされるのが、カンボジアとラオス。中国から多額の経済支援を受け、これまでのASEAN関連会議でも中国に配慮した発言を繰り返している。

 ほかの国々は比較的中立な立場だが、それぞれに思惑は異なる。インドネシア、マレーシアは近海に艦船を南下させる中国を警戒し、米国寄りに傾く。一方で、米国の伝統的同盟国であるタイはクーデターで軍事政権が樹立された後、中国と関係を緊密化させている。

 ASEANを巡る米中の綱引きが続くなか、今後も数々のASEAN関連会議が予定されている。議論の行方を左右する議長国は今年、ラオスが務める。 ケリー米国務長官は1月下旬、ラオス、カンボジアを相次いで訪問し、「親中派」への働きかけを行った。しかし、カンボジアのホー・ナムホン外相はケリー氏との会談後、「南シナ海問題でのカンボジアの立場は変わらない」と発言。ロイター通信は「ケリー氏、南シナ海問題でカンボジア指導者らの取り込みに失敗」と報じた。

 サニーランズ宣言では「民主主義や法の支配、人権擁護の促進」もうたわれた。ただ、実際には東南アジアの大半の国々は権威主義的な政治体制を維持し、米国の「人権外交」を警戒する。タイ国内では毎年、米タイ主導で東南アジア最大級の合同軍事訓練「コブラゴールド」を続けているが、あるタイ軍政幹部は「米国が民主主義を掲げ、軍政を批判し続けるなら、コブラゴールドはほかでやってもらっても構わない」とけん制。カンボジア政府職員は「中国は西側諸国のように人権問題や表現の自由を条件に持ち出さずに支援をしてくれるので助かっている」と語る。

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