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夫婦で研究、苦楽共に…発見発表50年

IgEの発見から50年を振り返る石坂公成さん=山形市で、下桐実雅子撮影
米ジョンズ・ホプキンズ大の研究室での石坂公成さん(左)と照子さん=1973年、本人提供

 花粉症などアレルギーの原因物質「IgE(免疫グロブリンE)」発見の発表から、今月20日で50年を迎える。ノーベル賞級といわれる功績の発見者、石坂公成(きみしげ)さん(90)=山形市=は、共同研究者の妻照子さん(89)と苦楽を共にしてきたが、照子さんは約20年前に難病を発症し、現在も入院中だ。石坂さんは「これまでも、これからも妻と一緒に過ごしていきたい」と、毎日欠かさず病院を訪れる。【下桐実雅子】

    互いの背中で実験 「これからも一緒」

     発見50年に合わせ、石坂さんが毎日新聞のインタビューに答えた。石坂さんによると、現在の照子さんは寝たきりとなり会話はできないが、石坂さんが話しかけたり、顔に触れたりすると、表情が変わることがあるという。毎日午前9時から夕方まで病室に滞在し、血液中の酸素濃度の確認や、たんの吸引をする。

     出会いは戦後間もない1947年。医学生だった2人が伝染病研究所(現・東京大医科学研究所)に実習に訪れたのが縁で2年後に結婚、免疫やアレルギー反応の研究も始めた。62年に渡米し、米コロラド州の小児ぜんそく研究所、ジョンズ・ホプキンズ大など米国で長く研究に取り組んだ。

     当時、IgEは正体不明で、多くの研究グループが血液中から取り出すことを試みていたが成功しなかった。血液中にごく微量にしか存在しないIgEを検出する方法を開発するため、石坂さんはウサギの血液の成分などを自分と妻の背中に注射して、アレルギー反応が起きるかどうかを確認する実験も重ねた。

     石坂さんは「他に方法がなかった。自分の背中は使い切っていたので、妻の背中も借りた」と振り返る。照子さんは「さしつ、さされつね」と笑っていたという。

     66年2月20日、石坂さん夫妻が米アレルギー学会で、新しいアレルギー反応を起こす物資(IgE)の発見を報告すると「大騒ぎになった」(石坂さん)。その後、花粉症患者の血液から取り出すことにも成功した。

     照子さんを中心にアレルギーが起こる仕組みも解明。2人はノーベル賞の登竜門といわれる「ガードナー国際賞」など国際的な賞をいくつも共同受賞し、「現代版キュリー夫妻」とも呼ばれた。石坂さんは米免疫学会会長を務めるなど、免疫学の世界的権威としての地位を築いた。96年に帰国し、照子さんの長年の希望だった故郷の山形市に居を構えた。しかし、照子さんは脳神経の難病「線条体黒質変性症」と診断され、98年に入院した。

     最近の石坂さんは、照子さんの傍らで最新の論文をチェックしている。「妻はいつも一緒にいることを望んでいたから、そうしている。これは自分にしかできないこと」と話す。6月には日本アレルギー学会が開くIgE発見50周年の記念シンポジウムで、3年ぶりに講演する予定だ。

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