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原発避難者判決 柔軟な救済への一歩に

 福島第1原発事故による自主避難者の救済を後押しする司法判断だ。原発事故で福島県郡山市から京都市に避難した夫婦に約3000万円を支払うよう京都地裁が東京電力に命じた。全国各地で同様の集団訴訟が起こされているが、自主避難者への賠償を認めた判決は初めてという。

     飲食店を経営していた原告の40代男性は2011年3月の原発事故直後に避難を始め、不眠症やうつ病になり働けなくなった。男性宅は避難指示区域外にあるが、東電が賠償金を払う自主避難対象区域となり東電は約300万円を賠償した。男性は不服として政府の原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てたが交渉はうまくいかず提訴した。

     判決は、原発事故がうつ病などの発症原因の一つと認定し、就労不能による休業損害と事故との因果関係も認めた。「転居を余儀なくされ、安定した生活が失われた」として男性と妻への慰謝料支払いも命じた。賠償額はADRで示された約1100万円を大きく上回り、自主避難者の救済拡大に弾みをつけるものだ。

     賠償問題の迅速な解決を目的にしたADRには約1万9000件の申し立てがあり、一律・定額の基準によって約1万3500件が既に和解している。強制的に避難させられた住民と自主避難者との間に慰謝料などで大きな格差があるという指摘があった。判決は「個別具体的な事情に応じて損害と認められることがある」とし、賠償のあり方に厳しい姿勢を見せた。

     一方で判決は賠償期間を12年8月までと限った。それ以降は男性宅のある地域の放射線量が被害のない程度に下がり、自主避難を続ける合理性がないという理由からだ。東電は国の審査会の指針に基づき賠償時期を12年8月までと決めており、判決はこれを追認したとも言えるが、原告側には不満が残る結論だろう。

     政府は今後、賠償制度を見直す考えだ。その際、一律の線引きではなく、個別の被害状況に応じた柔軟な対応を検討すべきではないか。

     原発事故による自主避難者は約1万8000人と推定され、国や福島県は帰還を促しているものの、放射線への不安はいまだに大きい。家族がばらばらに避難生活を送ったり、心身の不調を訴えたりする住民は多い。福島県は避難先の住宅の無償提供を来年3月で打ち切るが、避難者の生活が困窮しないよう、きめ細かな支援策をとらねばならない。

     事故から間もなく5年たつ。避難生活の長期化は経済的だけでなく精神的・肉体的に被災者を苦しめる。自主避難者の置かれた現実に見合った救済方法を考える必要がある。

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