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「太郎さん」逝く 認知症対策を前進

「太郎さん」と呼ばれた男性は、家族と職員に本当の誕生会を開いてもらい笑顔をみせた=大阪市内の介護施設で2014年4月30日、銭場裕司撮影

 大阪市の路上で保護されたものの重い認知症のため、毎日新聞などの報道で身元が判明する2014年まで「太郎」という仮名で2年以上も暮らした男性が亡くなり、19日、自宅のある兵庫県内で葬儀が営まれた。本名は吉田軍次さん、75歳だった。病気がちのため最後まで自宅で暮らすことはできなかったが、その存在は行政や警察による認知症高齢者らの行方不明・身元不明者対策を進める大きなきっかけになった。【銭場裕司】

 吉田さんは岡山県出身で、塗装職人として長年、兵庫県内で働き、70歳のころに認知症を発症。12年3月、外出先で行方不明になり大阪市西淀川区で保護されたものの身元が分からず、「西淀太郎」という仮名を付けられた。特別養護老人ホームで暮らしていた14年4月、その存在を毎日新聞が「老いてさまよう」と題するキャンペーンで報じたことなどで家族と再会できた。

 その後、吉田さんは感染症などを併発。特養と病院を行き来する生活が続き、今月15日に入院先で消化管出血のため死去した。家で暮らすことはかなわなかったが、妻(74)は「面会すると家族と分かるようでニコニコ笑ってくれた」という。

 葬儀では名前を取り戻した証しとして、仮名を本名に修正した成年後見の登記証明書をひつぎに入れた。成年後見人の山内鉄夫司法書士は「国の対策が進むことになり、軍次さんは大きな仕事をした。こういう問題が起きたことを今後も忘れてほしくない」と語る。

 行方不明から4年。持ち帰った遺骨を祭壇に据えた妻は「これでまた一緒に暮らせる。(夫も)きっと喜んでいる。たくさんの人たちに支えられて心残りはないんとちゃうかな」とほっとしていた。

 吉田さんは警察のミスで行方不明者届と照合できず、認知症の行方不明・身元不明者の問題が顕在化した。警察庁は14年6月、認知症の問題に特化した新施策を全国に通達。厚生労働省は全国で実態調査を行い、身元不明者の情報を閲覧できる特設サイトをホームページに開設している。

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