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マイナス金利 銀行の機能をゆがめる

 日銀が導入した初のマイナス金利政策により、民間の金融機関の収益悪化が懸念されている。

     マイナス金利政策の発表後、株価の下落が特に目立つ業種が銀行だ。金利収入が減り、利益が圧縮されると予想されているためである。資金の出し手(預金者)と借り手をつなぎ、経済活動を支える根幹の機能を銀行が果たせなくなれば、国民のくらしをはじめ経済全体に悪影響が及びかねない。

     日銀のマイナス金利が適用されるのは、民間の金融機関が日銀に預けている資金の一部に過ぎない。だが、政策の効果により、さまざまな金利が下がっている。日銀は追加の利下げも辞さない構えで、今後、貸出金利が一段と下がる可能性もある。

     住宅ローンを借りたい個人や、設備投資などの資金が必要な企業にとっては、金利コストが下がり朗報といえよう。しかし、民間の銀行にはマイナスだ。資金を貸して得る利子が減る一方で、預金者への利子をマイナスにすることは今のところご法度とみなされているためだ。

     今後、日銀が金利のマイナス幅を大きくすれば、金融機関の収益基盤は一段と弱まり、金融機関は自己防衛に動かざるを得なくなる。

     貸出先のリスクに見合う利子を取れないとなると、金融機関は新たな貸し出しに慎重になる。無理に貸し出しを増やそうとすれば、不良債権を抱え込むことになろう。

     貸出金利の下落が続くと、どこかで銀行は預金者に負担を求めるかもしれない。預金残高に応じて徴収する手数料などだ。マイナス金利で先行する欧州では一部で実施されており、全国銀行協会会長も欧州の事例を「調査研究している」と述べた。

     安全とされる公社債で運用する投資信託(MMF)や貯蓄性の高い一時払い終身保険など、利回りの確保が困難だとの理由でサービスが停止される例も出ているようだ。

     個人の間でも自衛的な動きが始まっている。銀行の預金よりも事実上の利回りが高いとして、大手百貨店の積立金サービスなどが関心を集めているという。

     マイナス金利政策がもたらす自衛の対応は、日銀の期待とは反対にデフレ心理を広げる恐れがある。預金に偏った個人の金融資産を投資に向かわせる効果を指摘する向きもあるが、人為的に作り出される投資ブームは長続きしないだろう。

     銀行の仲介機能が損なわれる一方で、国債市場ばかりが過熱し、バブルになっている。満期まで保有すれば損をするのが確実でも、日銀に売れば必ずもうかると信じられているからだ。こうしたゆがんだ金融が経済にプラスになるとは思えない。

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