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息子の思いを…両親「体罰なくす判決を」

男子生徒の仏壇のそばには中学時代に使っていたバスケットボールが置かれていた=遺族宅で、大久保昂撮影
自殺する数日前に男子生徒が元顧問宛てにしたためながら、渡せなかったという手紙=遺族宅で2016年2月14日、大久保昂撮影

東京地裁で24日、判決

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の主将だった男子生徒(当時17歳)が元顧問(50)に体罰を受けて自殺した事件で、遺族が市に約1億7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、東京地裁で言い渡される。事件を機に体罰防止の機運が高まったが、暴力に頼る指導は学校現場に根強く残る。両親は「体罰の抑止につながる判決を」と願っている。

 「息子の思いを代弁しようと裁判に臨んできた」

 関東地方に住む男子生徒の両親は今月の取材で1枚のルーズリーフに目を落とした。生徒が死の数日前、元顧問宛てにしたためた手紙だ。「先生が自分ばかり責めてくるのに不満を持っている」「キャプテンしばけば解決すると思っているのですか」。強い非難の言葉が並ぶ。しかし、チームメートらに反対され、元顧問に渡すことはできなかったという。

 生徒は優しく、控えめな性格で、主将になった後、元顧問の叱責と暴力に苦しんだという。「手紙の文章は今見ても息子らしくない。勇気を振り絞って書いたのだろう」と母親(48)は涙ぐんだ。

 自殺する1年以上前、元顧問の体罰を告発する通報が市に寄せられていた。「市教委や学校がきちんと対処していれば、あの子は死ななくて済んだのでは」との思いを強くし、両親は2013年12月に提訴した。

 法廷ではつらい経験もした。市は「自殺は予想できなかった」と争う姿勢を見せ、「学校をやめればよかったのでは」とも主張した。法廷で証言した元顧問も「過去十数人に同じようなことをしてきた。自殺の原因は分からない」と体罰と自殺の因果関係を認めなかった。母親は「悔しくて涙が出ることもあった」と振り返る。

 昨年には、この事件で執行猶予中の元顧問を市立中3校がバスケ部の外部コーチに招いたことが明らかになった。父親(46)は「『体罰を許さない』との意識が現場に浸透していないのでは」と不信感を抱く。

 生徒は生きていれば、いま20歳。一緒に酒を飲んだり、ドライブしたりする光景を想像すると胸が詰まるという。法廷には毎回、遺骨を持参しており、24日も一緒に判決を聞くつもりだ。父親は「二度と同じ被害者を出さないためにも、市に厳しい判決が下ると信じたい」と語った。【大久保昂】

桜宮高校の体罰事件

 バスケットボール部主将の男子生徒(2年)が2012年12月に自宅で自殺した。生徒に暴力を振るっていた部顧問の男性教諭は懲戒免職となり、大阪地裁で傷害と暴行の罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けて確定した。判決は体罰と自殺の因果関係を認めた。

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