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シャープ 決断促した業界の興亡

 シャープが、台湾の電子機器受託製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で再建を目指すことになった。買収総額は6600億円規模。家電大手が外資に買収されて再建を図る初のケースだ。

     この10年あまり、電機業界は新興国のメーカーが圧倒的な競争力を持つ一方で、日本企業は巨額の赤字計上や事業の分離を迫られてきた。こうした興亡の流れが、前例のない決断を促したと言える。

     シャープの経営悪化は2008年度の決算に始まった。液晶テレビの価格下落に歯止めがかからず、上場以来初めての赤字を出した。収益の多くを液晶関連に頼り、投資も集中させる「一本足打法」の成長路線に陰りが生まれた。

     だが、すでに日本の電機業界は00年以降、変調をきたしていた。

     ソニーは03年春に業績の大幅下方修正を発表し、株式市場に「ソニーショック」をもたらした。その後、ビデオカメラやパソコンも失速し、昔の輝きは取り戻せていない。04年度には三洋電機が大幅赤字に転落し、その後、パナソニックの完全子会社となって「消滅」の道をたどる。

     そのパナソニックも11年度と12年度で合わせて約1兆5000億円の赤字を出す。無配当に転落し、グループ全体の事業再構築を迫られた。

     また、比較的順調かとみられた東芝も、経営不振の実態を隠蔽(いんぺい)してきたことが、最近発覚した不正会計処理問題で明らかになった。

     日本の業界が総崩れに陥るのと裏表の関係で、中国や台湾、韓国の企業は力をつけた。高品質や多機能による差別化の成功体験が、低価格を押し出す戦略に屈したのである。

     米IBMのパソコン事業を買収した中国のレノボは、ここ3年続けてシェア世界一だ。三洋電機の冷蔵庫、洗濯機事業を買収した中国のハイアールは先月、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電部門を約6000億円で買収することを決めた。韓国のLG電子やサムスン電子は、次世代の薄型テレビ技術である有機ELテレビで世界をリードする。

     米アップルのスマートフォン「アイフォーン」の組み立てを受託するなど、連結売上高が約15兆円にのぼる鴻海がライバル視しているのは、こうしたメーカーだ。シャープの蓄積した技術を活用し、世界の開発競争で優位に立つ戦略だろう。

     柱の液晶事業が不振を続けるシャープには、利益を生みにくい部門を分離し、中核事業に経営資源を集中するGEのような選択もできなかったのが実情だ。鴻海の傘下入りがシャープにとってやむを得ない経営判断であり、興亡の歴史の帰結だったと受け止めるべきだろう。

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