業務上過失致死傷罪で東京地裁に
2011年の東京電力福島第1原発事故を巡り、東京第5検察審査会から起訴議決を受けた東京電力の勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人について、検察官役に指定された弁護士は26日、業務上過失致死傷罪で29日に東京地裁に強制起訴することを明らかにした。検察審の起訴議決に基づく強制起訴は全国9例目。
他に起訴されるのは、武黒一郎(69)、武藤栄(65)の両元副社長。
第5検審は昨年7月、旧経営陣3人について「万が一にも発生する事故に備える責務があり、大津波による過酷事故の発生を予見できた。原発運転停止を含めた回避措置を講じるべきだった」などとする起訴議決を公表。3人が事故を未然に防ぐ注意義務を怠り、福島県大熊町の双葉病院から避難した入院患者44人を死亡させ、第1原発でがれきに接触するなどした東電関係者と自衛隊員ら計13人を負傷させたと認定した。【山下俊輔】
東京電力福島第1原発事故
国際事故評価尺度で、チェルノブイリ原発事故(1986年)と並ぶ「レベル7」とされた最悪の原発事故。運転中の1〜3号機は、東日本大震災で停止したが、津波で全交流電源を失い炉心が冷却不能になった。1号機は2011年3月12日、3号機は14日、4号機は15日に水素爆発した。定期検査のため運転停止中だった4号機は、3号機から水素が流入しプール付近で爆発した。