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容疑者の勾留 慎重な運用を広げたい

 刑事事件の容疑者や被告に対する身柄拘束の手続きに、変化の兆しが出てきた。

     逮捕された容疑者を拘束する検察の勾留請求を全国の地裁と簡裁が却下する件数が近年、大幅に増加している。また、起訴後に被告の保釈を認める割合も上昇している。

     裁判所が、容疑者・被告を長期間拘束する必要性について、厳しく審査する傾向が明らかになってきたといえる。過去に、長期間の拘束で自白が強要され冤罪(えんざい)を生んだことは否定できない。身柄の拘束は人権の制約であり、慎重な運用は当然だ。

     裁判所は、一層の意識改革を進め、身柄の拘束について適切な審査を尽くしてもらいたい。

     逮捕後に最大20日間、容疑者の身柄を拘束する勾留は、検察官の請求を受け裁判官が決定する。1970年代後半以降、却下率は1%未満が続いてきた。だが、2009年の裁判員制度スタートを前に、05年ごろから却下件数が増え始めた。14年の却下率は2・7%で、件数は3000件を超えた。

     保釈も同様だ。95年に保釈率は20%を割り込み低下傾向が続いていたが、14年は25・1%まで上がった。

     刑事訴訟法では、住所不定で証拠隠滅や逃亡の恐れがあると疑う相当の理由がある場合に限り、勾留を認められると定める。保釈についても、例外を除き権利として認められ、その例外に当たったとしても裁判官の裁量で認められる規定だ。

     だが従来、「取り調べに対し否認していれば、検察官の言う通りに裁判所は拘束を認める傾向にある」と、弁護士の間で批判が強かった。

     検察が、無罪を主張する人の身柄拘束を長引かせたり、拘束を解くことを条件に自白を迫ったりすることは、「人質司法」と呼ばれる。あってはならないことだ。日本の刑事司法の仕組みの中で、そのブレーキ役として裁判所の責任は重いはずだ。

     裁判所の姿勢が変化した背景には、裁判員制度の導入があるといわれる。捜査段階の供述よりも、法廷での証言を重視する傾向が強まった。また、刑事裁判が市民の目にさらされる中で、裁判所は市民の不信感を招かぬよう手続きの公正さに目配りするようになったとみられる。

     こうした姿勢をさらに徹底する必要があるだろう。

     検察も、容疑者や被告の勾留が必要なのか、その適否を厳密に判断すべきだ。刑事訴訟法改正案に、保釈判断の際に被告の健康や社会生活上の不利益などに考慮することを書き込むなど、法制面でも改善の動きが出ている。司法全体で、さらに透明性の高い刑事手続きを実現してもらいたい。

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