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家族の監督責任範囲は 1日最高裁判決

 認知症の男性が1人で外出して列車にはねられ死亡した場合に、家族に賠償義務があるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が来月1日、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)で言い渡される。超高齢社会時代を迎えた日本では、500万人を超える認知症の人が生活している。認知症の人を介護する家族の監督責任を巡る初めての最高裁判決となり、介護に携わる関係者に大きな影響を与えそうだ。

 事故が起きたのは2007年。愛知県大府市の認知症男性(当時91歳)が列車にはねられ、JR東海は列車に遅れが出た損害として、同居の妻(93)や首都圏に住んでいた長男(65)らに約720万円の支払いを求めた。

 民法は、責任能力のない児童や精神障害者らが第三者に損害を与えた場合、代わりに親などの監督義務者が責任を負うとする一方、監督義務を怠らなければ例外的に免責されると定めている。争点は(1)妻と長男は男性の監督義務者に当たるか(2)当たるとしても、免責が認められるかどうか−−の2点となった。

 1、2審の判断は割れた。名古屋地裁は長男を事実上の監督者と判断し、妻の責任も認定。2人に全額の支払いを命じた。これに対し名古屋高裁は長男の監督義務を否定したものの「同居する妻は原則として監督義務を負う」として、妻に約360万円の賠償を命じた。これを不服としてJR側と家族側の双方が上告、2月の弁論を経て判決が見直される可能性がある。

 認知症の家族の団体は「責任を広く認めれば介護現場が萎縮する」と訴えるが、「被害者の保護や救済は必要だ」と声を上げる専門家もいる。誰が損害を負担すれば公平と言えるのかといった点でも、判決は議論を呼びそうだ。【山本将克】

「妻に重過失なし」和解も

 大阪府で2013年4月、認知症の夫(当時82歳)が1人で家にいる時に火災が起きたケースでも、裁判で同居する妻(74)の賠償責任が問われた。

 認知症の夫は施設入所を嫌がり、妻は在宅介護を選択。火災当日も医師の指示通り夫に薬を飲ませてから外出した。しかし留守中に自宅から出火し、隣家の一部も焼けた。妻は修理費100万円を払ったが、隣家から裁判で200万円の損害賠償を請求された。

 1審・大阪地裁は、夫がライターで布団に火を付けたと認定、「妻は夫が異常な行動をしないか見守る義務があった」と約40万円の支払いを命じた。妻は「自分は何をすればよかったのか」との思いで控訴すると、大阪高裁は「妻に重過失があるとは認められない」との前提で和解を勧告、隣家側が請求を放棄して訴訟は終結した。

 「自分に重過失がなかったと認められたことが何よりうれしかった」。妻はそう漏らしたという。代理人の伊藤妙子弁護士は「同居の妻だからというだけで監督義務があり、賠償を払えというのはあまりに乱暴だ。どのような場合に家族の責任が問われるのか、最高裁は明確な基準を示してほしい」としている。【山本将克】

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