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「新たな法整備が必要」…有識者指摘

 令状なしのGPS(全地球測位システム)捜査について、大阪高裁は「重大な違法はなかった」として、1審・大阪地裁判決とは逆の判断を下した。捜査関係者によると、司法判断が分かれていることに対し、現場では少なからず影響が出ているといい、有識者からは「新たな法整備が必要」との声が上がる。

    警察内規での運用危惧…有識者

     判決後、大阪市内で記者会見した弁護団は「1審から大きく後退し、GPSの特性を理解していない」と高裁の判断を批判。各地でGPS捜査の違法性が争われている中での判断だけに、「看過できず遺憾」と懸念を示した。今後被告と相談し、上告を検討するという。

     弁護側は控訴審でも「GPSは一回でも令状なく取り付けられれば重大なプライバシーの侵害」と主張したが、高裁は重大なプライバシー侵害はなかったと退けた。弁護団は「位置情報がきっかけで個人の思想や対人関係などプライバシーの根幹が揺らぐ」とGPS捜査の危険性を指摘。亀石倫子弁護士は、高裁が発信器を取り付けた回数や台数、期間などを考慮しながら検討したことについて「最初から任意捜査と位置づけているかのようだ」と不満をにじませた。

     GPS捜査には現在、法的規制がない。警察庁は内規で、裁判所の令状が不要な任意捜査と位置づけており、他の手段で追跡が難しい場合、犯罪行為をせずに発信器を取り付けるよう各都道府県警に求めている。しかし、違法とした3地裁(大阪、名古屋、水戸)の判断はいずれも、外部から目が届かない場所まで位置を把握されることなどは、重大なプライバシーの侵害に当たると指摘。令状が必要と断じた。

     ただ、刑事訴訟法は令状を行使する際は相手に示すよう定めており、捜査当局は「それでは秘匿捜査の意味がない」と懸念。これについて、水戸地裁は窃盗事件の審理で一つの見解を示した。捜査の必要性から事前に示さなくても、終了後に相手に内容を告げることなどを条件に、例外として認められるとした。

     指宿(いぶすき)信・成城大教授(刑事訴訟法)は、令状を得て通信を傍受した後、対象者に告知する通信傍受法に着目する。「GPS捜査を強制処分と位置づけ、同じように令状を捜査後に示す新たな法律が必要ではないか」と指摘。「警察の内規だけで運用されると、実態が表に出ず、チェックもできない」と語る。

     一方、総務省は、携帯電話会社などを対象にしたガイドラインについて、裁判所から令状が出れば、携帯電話の位置情報を利用者に通知せず捜査機関に提供できるよう、昨年6月に改正している。【三上健太郎】

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