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ギリシャ・マケドニア国境 足止め1万人

テントが並ぶ難民キャンプで、ぬかるみの中を歩く子どもたち=ギリシャ北部イドメニ郊外で2016年3月1日、福島良典撮影

劣悪なテント生活 難民キャンプ、人道危機

 中東からドイツなどを目指しながら、ギリシャ北部のマケドニア国境手前で足止めされている難民が1万人を突破し、「人道危機」の様相を深めている。雨風が吹き込むテント暮らしで体調を崩す子どもが多く、人道支援団体から「国境の早期開放」を求める声が強まっている。【イドメニ(ギリシャ北部)で福島良典】

    バルカンルート

     2月29日に一部の難民らが国境フェンスを破壊した混乱を受け、国境は一時、完全に閉鎖された。それでも、徒歩で難民キャンプにたどり着く人々は後を絶たない。当初、収容人数1200人を想定していたキャンプの人口は、2日までに約1万1000人に膨らんでいる。人道支援団体の食料配布には長蛇の列ができ、受け取るまで数時間も待たなければならない。

     マケドニア当局は2日、170人の通過を認めたが、「焼け石に水」の状態だ。ロイター通信によると、医療支援団体「国境なき医師団」のメンバーは「1万2000人以上になれば収拾がつかなくなる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。

     1日には難民の男性ら数十人が「国境を開けろ」などと叫びながらキャンプ内でデモを繰り広げた。1週間前に到着したシリア難民のアメル・アル・アブーシュさん(24)の最終目的地はドイツだが、「いつ越境できるのか」と不安げだ。

     足止めの長期化に伴い、キャンプ人口の約4割を占める子どもの健康状態が悪化している。「夜間の冷え込みと(暖を取るための)たき火の煙で風邪をひく子どもが多い。トイレ、シャワー、テントが足りない」とギリシャ赤十字看護師のディナ・グティさん(46)が語る。

     シリア・ホムス近郊出身の難民男性(28)の一家4人は12日前にキャンプに到着したが、越境許可はまだ出ていない。1歳の息子アハマドちゃんは寒さで風邪をこじらせて気管支炎になり、6日間、酸素吸入の治療を受けた。「ここでは離乳食が手に入らないので、与えられるのは母乳だけだ」という。

     子ども支援の国際組織「セーブ・ザ・チルドレン」は防寒服やレインコートなどを配り、母子保護のためのテント小屋を開設している。責任者のセリーヌ・ガニュさん(36)は「国境に到着するまでの長旅で子どもたちは弱っている」と説明、キャンプの規模を早急に拡大する必要があると訴えている。

     国連児童基金(ユニセフ)は1日、「国境通過規制で最も苦しんでいるのは子どもの難民・移民だ」と指摘、マケドニアやギリシャなど通過ルートに位置する国々に「連携の取れた取り組み」を要請した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)もギリシャ国内の難民滞留で「欧州は人道危機の瀬戸際」と警告している。

    ことば【欧州への難民流入】

     シリア内戦の長期化や中東・アフリカなどの紛争、政情不安を受けて近年、安全で豊かな暮らしを求める難民・移民が欧州に押し寄せている。特に昨年はトルコからギリシャ経由でバルカン半島を北上し、ドイツなどを目指す「バルカンルート」での渡航が急増した。昨年、欧州に到着した100万人以上のうち8割強がこのルートだった。今年は2月22日の時点でギリシャ入国者が10万人を突破、昨年を大幅に上回るペースでの流入が続いている。ギリシャの北方に位置する中東欧で、流入に歯止めをかけるため、国境管理を強化する国が相次いでいる。

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