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ワクチン接種で肺炎予防を

天野篤・順天堂医院院長/順天堂大学教授
心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影
心臓手術をする天野篤・順天堂大学教授(中央)=東京都文京区の順天堂医院で2012年5月21日、丸山博撮影

高齢者 感染しやすく

 今年もインフルエンザが流行のピークを過ぎたとみられるものの、依然として猛威を振るっています。私も1年前に93歳の母親をインフルエンザがきっかけの肺炎で亡くしたため、人ごとではありません。また、冬は乾燥するためウイルスが増えやすく、外科医は対応に苦慮する季節なのです。患者が感染すると、予定通り手術ができないばかりか、体調を崩して心臓への負担が増し、心不全の治療が必要になることもあり、その影響は少なくありません。

 以前、術後の患者さんに高熱が続いたため、免疫力が低下した術後に起きやすい重症細菌感染症を疑ったのですが、病原体が見つからず、少々戸惑いました。「まさか」と思ってインフルエンザの検査をすると陽性で、間もなく解熱してホッとしたことを覚えています。だからこそ、私たち医療従事者は流行前にワクチンで予防するとともに、手洗い、うがいなどの衛生管理、マスクの着用など、ウイルスをうつされないよう防御するのが当然…

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順天堂医院院長/順天堂大学教授

あまの・あつし 1955年生まれ。埼玉県出身。83年日本大医学部卒。亀田総合病院、新東京病院などを経て、2002年7月から順天堂大学教授、16年4月から順天堂大学医学部付属順天堂医院院長。12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。