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「温室ガス4割減を」容易でない実現

地球温暖化対策計画案で想定する普及割合・数

30年政府目標 環境、経産両省の合同審議会了承

 国内の温室効果ガス削減の指針となる初の「地球温暖化対策計画」の案が4日、環境、経済産業両省の合同審議会で大筋了承された。計画作りは当初予定から2年半近く遅れた上、国際公約となった中期目標の達成には家庭や店舗、オフィスでは2030年までに約4割の排出削減が必要で、実現は容易ではない。【渡辺諒、大場あい】

     計画は、地球温暖化対策推進法に基づき策定される。政府案では削減目標を、短期「20年に05年比3.8%以上減」▽中期「30年に13年比26%減」▽長期「50年までに80%減」−−とした。特に、国際公約となっている中期目標については、業務・オフィス39.7%▽家庭39.2%▽運輸27.5%−−など部門ごとの削減目標などを盛り込み、対策強化が急務となる。

     一部の民間企業では計画策定前から先進的な取り組みが進む。東京・丸の内のビルの一室では、従来よりも消費電力を4割カットできるという次世代型オフィスの実証事業が始まっている。オフィスで最も消費電力が大きいエアコンはなく、天井内のパイプに、地熱を利用した温水や冷水を流すことで代替する。

     照明は発光ダイオード(LED)に切り替え、さらに部屋全体の明かりは最小限に抑えて、机上に手元ライトを完備する。事業を進める三菱地所新機能開発室の担当者は「はじめは暗く感じるかもしれないが、慣れれば快適という意見が多い。顧客ニーズも把握しながら、多くのビルに展開していきたい」と話す。

     中期目標の達成にはこうした取り組みを、多くのオフィスや家庭に普及させる必要がある。計画では12年時点で6%にとどまる住宅の高断熱化を、30年までに3割にする。また、ハイブリッド自動車の普及率を12年の3%から、30年に29%へと大幅拡大を目指す。

     しかし、これらの対策には経済的な負担が伴うため、家庭や企業任せではなかなか進まないのが現実だ。業務・オフィス、家庭の2部門で目標達成には少なくとも数百億〜数千億円規模のコストが掛かるとの指摘もある。環境省幹部は「家庭での4割削減は、全家庭で照明のLED化など高効率な家電を導入しても達成できないレベルだ。一定のコスト負担とともに、家電の使い方など相当な意識改革も必要になる」と話す。

     国立環境研究所の亀山康子室長は「定期的に進捗(しんちょく)状況を確認し、取り組みを見直す仕組みが必要だ」と指摘。その上で「長期目標の達成には、車を使わなくて済むコンパクトシティーの整備など、街づくりなどとも連携して考える必要もあるだろう」と話す。

    環境省と経産省、綱引き

     計画案策定を巡っては、「50年に80%減」という長期目標を盛り込むかどうかで環境省と経済産業省の思惑がぶつかり、決着までに時間がかかった。

     「長期目標が入らない計画ではだめだ。必ず盛り込め」。政府案作りが大詰めを迎えていた2月、環境省幹部が職員にハッパを掛けた。昨年末に採択された地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」で、今世紀後半に世界全体で大胆な温室効果ガス削減を目指すことになったことが追い風となり、環境省は長期目標を政府案に盛り込むよう攻勢をかけた。一方、経産省は「経済再生を掲げる安倍政権として認めにくい」などと応戦、平行線をたどった。

     議論が動いたのは、「20年までに05年比3・8%以上減」という短期目標で環境省が妥協したからだ。当初は発電過程で温室効果ガスを出さない原発の再稼働を見込み、削減幅の上積みを求めたが、結果的には「20年時点の原発の稼働率を見越すのは難しい」との理由付けを持ち出して難色を示した経産省の姿勢を受け入れ、削減幅を据え置いた。これと引き換えにする形で、経産省は長期目標を盛り込むことをのんだ。

     しかし、政府案が示された4日の両省の合同審議会でも、経産省の審議会委員からは、長期目標について「原発事故の影響を考慮しておらず、盛り込むのは不適切」(経産省OB)、「裏付けがない目標を盛り込むべきではない」(経済団体出身者)などと削除を求める意見が相次ぎ、不満がくすぶっていることもうかがわせた。

     環境省幹部は「長期目標は譲れなかった。5月には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が日本であり、国際的に遜色のない計画でなければ日本は後ろ向きと言われかねない」と語るが、政府の足並みがそろわなければ、長期目標の達成はさらに厳しくなる。

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