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被害者支援へ「手帳」発行 公的サービス周知

厚生労働省が作製した「血友病薬害被害者手帳」=古関俊樹撮影

 1980〜90年代に社会問題化した「薬害エイズ」の被害者を支援するため、厚生労働省は「血友病薬害被害者手帳」を作った。薬害エイズ訴訟の和解から今月で20年。医療に加えて福祉や介護など公的サービスも必要になっており、被害者が適切にサービスを受けられるよう手帳を発行した。

     薬害エイズ被害者は、国のHIV(エイズウイルス)感染者についての調査研究に協力すれば健康管理費用が支払われたり、生活に支障があれば障害年金を受給できたりといった公的サービスを受けられる。

     しかし、被害発生から時間が経過し、制度をよく知らない自治体や医療機関の職員が増加し、サービスを利用する際に被害者が制度について窓口で説明しなければならないケースも増えていた。

     東京、大阪薬害HIV訴訟原告団は2011年、細川律夫厚労相(当時)との協議で、手帳の作成を要望していた。手帳を示せば窓口で説明する負担が減り、被害者が自分の利用できる公的サービスを把握できるようになる。

     手帳ははがきサイズで31ページ。被害者が受けられる医療や福祉、介護などの公的サービスの内容と問い合わせ先を記載し、薬害エイズ訴訟と和解に至る経緯や、国が実施している調査研究事業の概要なども盛り込んだ。

     被害者は年齢を重ねるにつれC型肝炎や薬の副作用など体に多くの問題が起きている。12年度に社会福祉法人「はばたき福祉事業団」(東京都)が行った被害者87人を対象にした調査では、60人(69%)が「日常生活に困難がある」「少々困難がある」と回答した。

     手帳は「関係機関の皆さまへ」というタイトルで「被害者は合併症の長期闘病によって想像できなかった新たな身体症状を抱えながら生きていかざるを得ない状況にあります」と記し、被害者への支援、協力を求めた。同事業団の大平勝美理事長(67)は「国や自治体、医療機関などの担当者は手帳の趣旨を読み取って適切に対応してほしい」と話している。

     手帳は、被害者に配布するとともに、厚労省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/index.html)でも公開している。【古関俊樹】

     【ことば】薬害エイズ

     1980年代、出血が止まりにくい血友病の患者が使用する非加熱血液製剤にHIV(エイズウイルス)が混入。国と製薬会社5社に賠償を求めた訴訟の原告を含め1400人を超える患者がHIVに感染し、原告だけで695人が死亡した(2016年2月末現在)。訴訟は96年3月に和解が成立した。

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