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「爆買い」に距離 地元住民重視の新戦略

4月にリニューアルオープンする「白鹿クラシックス」の外観イメージ図

 「白鹿」ブランドで知られる灘五郷の蔵元・辰馬本家酒造(本社・兵庫県西宮市)が、急増するインバウンド(訪日外国人)需要に対し、距離を置く戦略を展開する。4月にリニューアルする直営ショップとレストラン施設「白鹿クラシックス」も、ターゲットはあくまで地元の市民。灘五郷でも「爆買い」に象徴されるインバウンド需要の取り込みを積極的に進める動きが目立つ中、相対する白鹿の選択に各蔵元の注目が集まりそうだ。

     「地域あっての酒蔵なので、まずは地元に支えられ、全国から来ていただけるような施設を目指したい」

     2月29日、西宮市の本社で開かれた説明会で、辰馬健仁社長はリニューアルした白鹿クラシックスのコンセプトをこう説明した。インバウンドへの対応にも「非常に悩んだ点だが、積極的に(需要を)獲得にはいかない。地域の方々が我々に求めるニーズとは違う」と述べ、一定の距離を置く考えを示した。

     日本有数の酒所・灘五郷にも、関西国際空港からほど近いこともあり、昨今は中国などからの外国人観光客が押し寄せている。直営店のレジを免税対応にしたり、外国語で接客できるスタッフを採用するなど、対応を進める蔵元も少なくない。インバウンド需要の高い梅酒や高額の日本酒といった商品開発も、主流となりつつある。

     一方、白鹿がリニューアルするクラシックスは、建物を酒蔵の瓦屋根と白壁を意識したデザインとし、地元の景観になじんだたたずまいとしている。レストランは店内に花を飾り、親子3世代でモダンな和食と日本酒を楽しめるよう演出を施す。ショップも蔵元直送で日持ちが難しい「しぼりたて原酒」やオリジナルの酒器を取り扱うなど、インバウンドが好む商品ラインアップとは一線を画する。

     観光庁のまとめによると、県内のホテルや旅館などに泊まった外国人の数(延べ宿泊者数)は、2011年の約31万人から15年には約119万人と大幅に増加。特に15年は、前年に比べて約1・7倍に急増しており、インバウンド需要の高まりは県内にも着実に浸透しつつある。

     ただ最近は、中国経済の減速が鮮明になるなど、中国人観光客の「爆買い」などインバウンド需要の先行きに不透明感も漂う。白鹿の戦略にも「インバウンド需要はいつか日本国内ではなく、別の方向に向くこともある。インバウンド需要を排除するものではないが、日本の人に評価してもらえないと、生き残れないのでは」(辰馬本家酒造幹部)という背景も垣間見える。【石川貴教】

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