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千葉、茨城の10市進まず 断念・縮小に

国の補助事業で液状化対策工事を計画した12市

 東日本大震災で発生した液状化の対策工事を国の補助事業で行おうとした千葉、茨城、埼玉県の12市のうち、計画通り実施できるのは2市にとどまることが分かった。負担金などを巡り地権者らの同意が集まらないためで、5市は対策工事を断念し、残る5市も縮小を迫られている。南海トラフ巨大地震などで液状化が懸念される自治体も補助事業を使えるが、工事を行おうとしている自治体はゼロ。対策の遅れが懸念される。

     国土交通省などの調査では、東日本大震災で13都県193市区町村で液状化現象が起き、住宅被害は9都県80市区町村の約2万7000棟に及んだ。宅地の液状化対策は住民自ら行うのが原則だが、震災ではインフラも被害を受けたため、同省は道路などの公共部分と宅地の対策を地区ごとに実施する「市街地液状化対策事業」を2011年11月に創設した。地権者らの3分の2以上の同意が条件で国が事業費の半分を自治体に補助し、住民は対策工事の負担を軽減できる。

     しかし、同事業を活用して地盤調査に着手した12市のうち、計画通りに工事ができるのは、茨城県潮来市と埼玉県久喜市だけの見通し。千葉県旭市▽我孫子市▽習志野市▽茨城県稲敷市▽ひたちなか市−−の5市は計約6億円の補助を受けて調査をしたが、住民同意が得られないことなどを理由に工事に進むのを断念した。残る千葉市▽千葉県浦安市▽香取市▽茨城県鹿嶋市▽神栖市−−の5市も一部地区で工事を断念したり、着工見通しの立たない地区を抱えたりしている。工法は地盤によって異なるが、住民負担が数百万円から1000万円以上と試算された地域もあり、住民の同意が集まらない状況が続いている。

     南海トラフ地震でも液状化が懸念されるため、国は13年度から補助対象を被災地以外に広げ、事業費の4分の1を負担することにした。しかし、ある自治体の担当者は「インフラの耐震化が優先。液状化に取り組む余裕はない」と話すなど対策は進んでいない。

     千葉大大学院の中井正一教授(地盤工学)は「住民が個人で自宅の対策をしても、周りが液状化すると影響を受けてしまう。可能な限り、地区ぐるみでの対策を検討すべきだ。まず地域にどの程度の液状化リスクがあるのか住民が知ることが必要。行政は、専門家を交えて地域ぐるみの話し合いを始められるよう環境作りを進めることが大事だ」と警鐘を鳴らしている。【金森崇之】

    液状化現象

     埋め立て地や川沿いなど地下水を多く含み、砂粒の密度が低い地盤で起きる。普段は砂粒同士が支え合って安定している地盤が、地震の揺れによって支え合いが崩れてバラバラになり、泥水のような状態になる。地中から泥水が噴き出したり、マンホールや上下水道管が浮き上がったりするほか、建物が傾いたり沈んだりする被害が起きる。千葉県東方沖地震(1987年)で液状化した地盤が、東日本大震災で「再液状化」する現象が確認されており、対策の必要性が指摘されている。

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