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農業分野、論戦に注目 生産者不安、野党追及へ

 政府は8日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案と関連法案を閣議決定し国会に提出した。今後、衆参両院に特別委員会を設置して4月から審議を始める見通しで、今国会での協定承認と法案成立を目指す。野党は合意内容やその後の政府対応を疑問視しており、農業分野などで激しい論戦が展開される見通しだ。

     政府は、TPPの発効までに改正が必要となる11の関連法を一括して法案化。農業分野では、価格下落が予想される牛・豚肉の畜産農家の赤字を補填(ほてん)する対策を法制化する。農産物など地域特産品のブランドを保護する地理的表示(GI)も参加国間で互いに保護できるようにする。

     著作権法も改正し、小説などの著作権保護期間を作者の死後50年から70年に延長。侵害行為は現在、告訴なしには摘発できないが、悪質な行為については捜査当局の判断で取り締まれるようにする。また、独占禁止法違反の是正を企業が確約すれば課徴金を免除する制度も盛り込む。

     安倍晋三首相は8日午前の閣議で「協定の早期発効を政府として目指したい」と強調した。

     法案審議では農業分野でのやり取りに特に注目が集まる。TPPでは関税撤廃・引き下げにより安い外国産農産物の輸入増が予想されるが、政府は「国益は確保した」と主張している。これに対し、生産者の不安は根強く、合意内容を巡って野党の追及が厳しくなると見られる。

     また、政府が12月にまとめた試算では、適切な対策を講じることで、農林水産物は生産額が減少しても生産量には影響はないとしている。ただ、輸出促進策やコスト削減などの農業対策については政府・与党でも現在議論中で、国会での論戦が注目される。

     政府は、TPPで関税撤廃・削減が進んだり、投資などの共通ルールが設けられたりすることで、中小企業を含めて海外展開がしやすくなり、日本の産業競争力を底上げし、国内総生産(GDP)を13.6兆円拡大、雇用も80万人増えるとの経済効果を試算している。しかし、実現のための具体的な道筋は示されておらず、野党からは「効果の検証もできず、まったく説得的でない」といった疑念の声もある。日本の基幹産業である自動車分野で、米国向けの完成車輸出関税の撤廃に25年かかることへの批判も根強い。石原伸晃経済再生担当相は参院予算委で「TPPは自動車だけの自由貿易交渉ではない。トータルで判断してほしい」と訴えたが議論はかみ合わないままだった。

     TPP発効には、日本だけでなく、米国の国内手続きの完了が最低条件となる。大統領選では、民主・共和両党の候補者の多くがTPPに反対の姿勢を見せるなど、先行きは不透明な状況が続きそうだ。【松倉佑輔、横山三加子】

     【キーワード】TPPの発効条件

     日米など12カ国で協定の承認案や関連法改正などの国内手続きが完了すれば、その60日後に発効となる。既に豪州やニュージーランド、マレーシアでは手続きが始まっているが、大統領選を控えている米国のほか、昨秋に政権交代したカナダなどの動きは鈍い。

     仮に署名から2年たっても国内手続きの完了しない国が出た場合には、12カ国の国内総生産(GDP)に占める割合が計85%以上の6カ国で手続きを完了すれば、その60日後に発効するという決まりもある。ただし、この条件をクリアするためには、域内GDPに占める割合が1位の米国(60.5%)と2位の日本(17.7%)の両国で準備が整うことが最低限必要だ。

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