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国から「帰りなさい」と言われても…富岡町

居住制限区域内にある無人の住宅地で現状を説明する西原千賀子さん(左)=福島県富岡町で2016年3月6日午前11時33分、金志尚撮影

無人の校舎、バリケードの無力

 かつてそこに人の営みがあったことを示すように、家々が並び、学校がある。しかし、今は誰もいない。

     東京電力福島第1原発事故で全域に避難指示が出ている福島県富岡町。同原発から南へ約5〜15キロ圏内にある。震災前まで同町に住み、現在はいわき市の仮設住宅に避難している西原千賀子さん(67)に3月上旬、町内を案内してもらった。

     西原さんは被災地の現状を伝える語り部として活動している。この日は須賀川市のライオンズクラブによる視察で語り部を務め、私も同行取材した。

     避難指示は年間の積算放射線量に応じて(1)帰還困難区域(2)居住制限区域(3)避難指示解除準備区域−−の3区域に分けられる。(1)は自由な立ち入りができないが、(2)と(3)は日中の出入りが認められている。

     富岡町はこの3区域全てにまたがる。政府は(2)と(3)について来年3月までに解除する目標を掲げており、町もそれに合わせて両区域の町民の帰還を目指す方針を示している。

              ◇

     同原発から約9キロ南で、居住制限区域にある県立富岡高校に向かった。同校はサッカー、バドミントン、ゴルフの3競技の選手養成に力を入れる「国際・スポーツ科」があることで知られる。リオデジャネイロ五輪での活躍が期待されるバドミントン男子の桃田賢斗選手(21)も卒業生だ。

     現在は別の高校や大学の計4カ所をサテライト校として間借りしているため、無人の校舎が寂しげに立つ。既に生徒募集は停止し、来年3月末で休校になる。「これが教育現場の現状です」。校舎を眺めていると、西原さんがそう言った。

                ◇

     居住制限区域と帰還困難区域との間はバリケードで仕切られている。しかし、空間そのものを遮断できるわけではない。帰還困難区域内に設置されている線量計は「毎時2.58マイクロシーベルト」と表示していた。福島市内には毎時1マイクロシーベルトを超えるような場所がないことを考えると、かなり高い。町によると、居住制限区域の線量は下がってきているが、局所的に高い「ホットスポット」も残っているという。

     「国から『帰りなさい』と言われても住めない」。西原さんの言葉は、多くの町民の思いを代弁しているように聞こえた。【金志尚】

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