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「保育園落ちた」 親の怒り、政治を動かす

 「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名のブログがきっかけで、政府は待機児童の緊急対策に乗り出した。国会で質問された安倍晋三首相は「匿名なので確かめようがない」と素っ気なかったが、保育所の見つからない親たちの怒りが噴出し、姿勢を修正した。

     子育て支援に5000億円の財源を投じて取り組んでいる首相からすれば「こんなにやっているのに」との思いがあったのだろう。しかし、都市部の保育所不足は深刻だ。「1億総活躍」「女性が活躍する社会」を掲げるのであれば、もっと謙虚に親の怒りを受け止めるべきだ。

     保育園増設を求める約2万7000人分の署名を塩崎恭久厚生労働相に提出した東京都内の女性は、育休を延長して1歳2カ月の長男の保育所を探したが見つからず、夫と別居して千葉県松戸市の実家に移り、同市内の保育所を利用しながら1時間半かけて職場に通うという。

     首都圏の自治体に住む自営業の男性は1歳3カ月の長男を預けようとしたが認可保育所に落とされた。認可外保育所は13カ所申し込んだが全部ダメだった。仕方がないので一時預かりの保育所を日替わりで利用するか、非常勤職員の妻が仕事をやめて保育所に空きが出るのを待つしかないと考えている。

     ところが、自治体の基準ではいずれの場合も「待機児童」から外されることがわかった。もともと認可保育所は夫婦ともフルタイムで働く正社員の0歳児が優先され、翌年はその子たちが1歳児の定員を埋めるため、新規で申し込む1歳児にはほとんど枠がないことも知った。「福祉から見捨てられた。『日本死ね』の心境はよくわかる」と男性は嘆く。

     政府は2017年度末までに50万人分の保育の受け皿を整備する方針だが、非正規の夫婦共働きが増え、保育ニーズの高まりに追いつかないのが現状だ。首都圏では騒音や送迎による渋滞を理由に保育所設置への近隣住民の反対運動もある。地価が高く、認可保育所に必要な園庭の確保も難しい。賃金が低い割に仕事がきついため保育士の不足も深刻だ。

     スウェーデンでは保育所への申し込みがあると自治体に保育所確保の義務が課せられるため「待機児童」の概念がない。消費税25%で福祉の財源は潤沢と見られているが、高齢者の年金の支給水準を下げ、医療費抑制のため受診を制限するなどして次世代の育成を優先している。

     低所得の高齢者へ総額3900億円の給付金を配る安倍政権である。待機児童対策でやれることはもっとあるはずだ。安心して子供を産み、働けるようにしなければ、この国の未来はない。

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