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大震災から5年 福島原発の廃炉 司令塔の整備が必要だ

 1〜4号機が次々に危機的な状況に陥った東京電力福島第1原発事故から5年。廃炉作業が続く敷地内では除染が進み、全面マスク着用が必要なエリアは全体の1割となった。休憩施設内にコンビニも出店するなど、労働環境は大幅に改善した。

     だが、最大の難所である原子炉内で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の回収はめどが立っていない。廃炉作業は30〜40年続くとされるが、まだほんの入り口に過ぎない。

     廃炉の前提となるのが、原子炉建屋に地下水が流入して生じる汚染水対策だ。建屋には地下水が今も1日当たり150〜200トン流入し、汚染水は増え続けている。

     政府と東電は、1〜4号機の周囲を氷の壁で囲い、地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」を対策の切り札と位置づける。近く稼働するが、地下水位のコントロールを誤れば、建屋内の高濃度汚染水が外にあふれ出る恐れがある。慎重な運用が必要だ。

     汚染水の浄化処理は進んだ。ただし、放射性物質のトリチウムは除去できず、約60万トンのトリチウム水がタンクに貯蔵されている。東電は海への放出を視野に入れる。先月、東電が事故から3日後には炉心溶融の判断ができたはずだったことが判明した。こうした隠蔽(いんぺい)体質を改め、地元了解を得ることが大前提となる。

     燃料デブリの取り出しについて政府と東電は、2018年度中に取り出し方法を決め、21年中に回収を始める計画だ。ところが、高い放射線などに邪魔され、今年度中に実施予定だった1、2号機の格納容器内のロボット調査は延期された。デブリの姿すら観察できていない。

     政府は廃炉技術の研究開発などに2000億円超を投じており、来月には福島県楢葉町で日本原子力研究開発機構の新施設が本格稼働する。2号機の格納容器下部の実物大模型などがあり、燃料デブリ取り出しの手順決定などに役立てる。このほかにも、廃炉に使うロボットや遠隔操作技術の開発に、大学やメーカーなどが取り組んでいる。

     長期にわたる廃炉を成功させるには、基礎から応用まで幅広い研究開発を一元的に管理し、進捗(しんちょく)状況に応じて的確な指示を出す司令塔が必要だ。

     そのため政府は一昨年、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を国の認可法人として発足させた。昨年7月には同機構の下に東電や研究機関が集う連携会議が設置されたが、まだ情報交換の段階だ。

     同機構の廃炉担当者は約50人で、福島第1原発には2人しかいない。政府は、同機構の機能強化を図るべきだろう。

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