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「復興の力に」…全国から福島に派遣の職員

仮設住宅集会所で住民と会話を交わしながら健康診断する藤田奈緒美さん(右)=福島県いわき市で

 東京電力福島第1原発事故後に福島県内の自治体に派遣されて実情を目の当たりにし、派遣先の自治体職員に転職するなど復興に人生をかける決断をする人々がいる。出身地は北海道から九州までさまざま。採用した自治体は、新たな人材流入による未来に期待をかける。【栗田慎一】

「求められている」と決意

 「ほな、これでどないでっしゃろ」。同県いわき市にある双葉町仮役場に関西弁はよく響く。建築施工管理技士の小林博幸さん(45)は大阪出身の元大津市職員。復興支援員として大津市から1年間派遣され、任期を終えた2015年4月、正規の町職員に転じた。

双葉町、広野町、いわき市の位置

 第1原発が立地する双葉町は面積の96%が帰還困難区域で、東日本大震災から5年をすぎても地震で壊れた街並みは放置され、国の除染も始まっていない。震災と原発事故という複合災害が残した傷痕の深さは「見ると聞くとでは大違い」だった。

 道路などインフラ復旧はこれからなのに、計画作りに必要な建築技士は待遇のいいゼネコンなどに流れ、町の募集に応募者ゼロが続いていた。「僕だからできる仕事がある。残りの人生をかけるのも悪くないと思った」と小林さん。京都で働く妻とは離ればなれの生活だ。

 13年4月から広野町職員として町民の健康管理に当たる保健師の藤田奈緒美さん(43)も、1年の任期で派遣された北海道下川町職員だった。福島県沿岸部は以前から「医療過疎地」と呼ばれ、事故後は人材流出による人手不足に苦しむ。お年寄りたちとの交流が深まるにつれ、「自分が求められている」と広野に骨をうずめる決意をした。

 双葉町の志賀公夫・秘書広報課長は「自らが被災者となった自治体職員には、発想の限界や打ち破れない常識がつきまとう。人材流入こそ新しい地域を作る源になっていくと思う」と期待する。

 福島第1原発周辺の自治体は即戦力となる人材を集めようと採用年齢を広げた結果、社会人の応募が増えた。採用数は各自治体とも数人程度だが、今後も増えるとみられる。

正規職員の割合増やす

 総務省や復興庁は震災後、被災3県への職員派遣を全国の自治体に求める一方、民間経験者を派遣し、数カ月から2年程度の期限で給与を「復興特別交付金」で肩代わりする事業を続ける。だが、政府の「復興・創生期間」が終わる20年度で打ち切りとなる見通しで、被災自治体の多くが、自前の職員で対応できるよう職員構成の転換を始めている。

 福島県南相馬市の正規職員は震災当時612人いたが、自己退職や定年退職で昨年度は536人に。減少分は派遣職員や定年退職後の臨時職員で補い、職員総数681人のうち、正規でない職員が2割を占める。市の人事担当者は「国の派遣事業が終わってもいいように、正規職員の割合を増やし始めている」と話す。

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