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「法律存在せず」賠償請求棄却 那覇地裁

 太平洋戦争末期の沖縄戦で家族を亡くしたり、負傷したりするなどの被害を受けた79人が、国に1人当たり1100万円の賠償と謝罪を求めた訴訟の判決で、那覇地裁は16日、請求を棄却した。鈴木博裁判長は「戦時中の明治憲法の下では国に賠償責任を認める法律は存在せず、賠償などを求めることはできない」と述べた。全面敗訴の内容で、原告側は29日に控訴する方針。

 訴訟で原告側は「旧日本軍は住民の生命を保護する義務があったのに、住宅地に陣地を構えて住民を戦闘行為に巻き込み、避難していた壕(ごう)から追い出すなどして多数の死傷者を出した」とし、民法上の不法行為に当たると訴えた。

 これについて判決は、戦時中の行為には1947年施行の国家賠償法は適用されないなどとした上で「民法の不法行為を根拠に、現行憲法施行前の行為について国に賠償や謝罪を求めることはできない」と退けた。

 一方、戦後も補償などの民間被害者の救済措置を怠ったとの主張には、「被害者は多数に上り、財政事情という制約がある中、誰にいかなる内容の補償を行うべきかは政策的な判断であり、立法府に委ねられるべき事柄だ」と述べた。

 原告側は「軍人・軍属が補償を受けているのに、住民に十分な救済措置がないのは憲法が定める法の下の平等に反する」とも訴えたが、判決は「一般民間戦争被害者に補償がされていないのは不合理な差別とまでは認められない」とした。

 沖縄戦による一般住民被害者は、1959年から「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の対象となった。軍の物資の搬送を手伝って死傷した住民などを「戦闘参加者」(準軍属)として適用するものだが、戦死者の場合、一般住民約9万4000人(推計)のうち適用は5万2332人にとどまっている。原告は沖縄県内外の46〜93歳の79人で、本人や家族は「戦闘参加者」の適用を受けていない。

 沖縄戦の民間被害者への損害賠償を巡る判決は初めて。東京大空襲や大阪大空襲の被害者も国家賠償を求める集団訴訟を起こしたが、いずれも最高裁で敗訴が確定している。【佐藤敬一、川上珠実】

 【ことば】沖縄戦

 米軍は1945年3月26日に沖縄・慶良間諸島に、4月1日に沖縄本島に上陸。米軍の猛烈な砲爆撃は「鉄の暴風」と評され、壮絶な地上戦となった。旧日本軍が本土防衛の時間稼ぎのために持久戦を展開し、多くの一般住民が巻き込まれた。

 家族同士などが手をかけ合う「集団自決」のほか、旧日本軍による壕からの追い出しや食料の強奪、スパイの疑いをかけた住民虐殺の証言もある。6月23日に日本側の司令官が自決したことで組織的な戦闘が終わったとされるが、その後も局地的な戦闘はあり、日米の降伏文書の調印は9月7日だった。

 一般住民約9万4000人、旧日本軍9万4136人、米軍1万2520人の計約20万人が犠牲になったとされる。一般住民の死者数は推計で、正確な数字は今も分からない。

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