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高校と政治活動 届け出制は行き過ぎだ

 主権者教育の推進にそぐわない動きである。

     選挙権年齢の18歳以上への引き下げに対応し、生徒によるデモや集会への参加など、学校外での政治活動に事前届け出を義務づける動きが具体化している。愛媛県は59ある全ての県立高校が届け出制を採用するため、校則を改めることが分かった。

     届け出制は生徒の自主的な活動を妨げるおそれがあり、行き過ぎた学校による関与だ。とりわけ、県教育委員会が主導した愛媛のケースは突出している。同様の対応が広がらぬよう、政府は届け出制を容認した見解を速やかに改めるべきだ。

     選挙で投票できる年齢は参院選から18歳以上に引き下げられる。

     これを受けて文部科学省は1969年以来、学校外での高校生の政治活動を認めてこなかった通知を撤廃し、参加を容認した。高校生の一部は有権者として選挙運動が認められるうえ、主権者教育の一環として若者の政治への関心を育むためだ。 

     ところが、いくつかの自治体の教委は届け出制を検討し、文科省は教育現場向けの「Q&A」で「必要かつ合理的な範囲内の制約」として導入を認めてしまった。愛媛県の場合、政治活動への参加を1週間前に担任に届け出る校則を県教委が例示していた。

     県教委は届け出制を「生徒の所在確認など安全管理に必要」だとし、「思想信条を調べたり、活動を抑制したりする意図はない」と説明する。生徒の活動をできるだけ把握したいという理屈だ。校則の例示もあくまで参考としてであり、学校の自主判断が前提だと強調している。

     だが、届け出をする際に担任とのやり取りなどが生じれば、実際は集会などに参加しにくくなるおそれがある。愛媛県教委は校則を変える場合は報告するよう学校側に求めている。結果的に一律対応を誘導したと取られても仕方あるまい。

     解せないのは、校外の政治活動を解禁する一方で、届け出制を認める文科省の対応だ。

     「Q&A」は届け出制について「個人的な政治的信条の是非を問わない配慮が必要」とも指摘している。だが、大阪府教委は「事実上の許可制になる恐れがある」として届け出は不要とのガイドラインを策定した。届け出制がそれほど広がっていないのも、生徒の自主性確保との両立が難しいことの表れだろう。

     校外活動を解禁した文科省の新通知は学校が禁止、制限できる例外として「違法、暴力的なおそれが高い」「学業や生活に支障がある」場合などを示す。全般的な届け出制はこうした趣旨すら逸脱する。生徒の主権者としての行動を尊重すべきだ。

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