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高1用「領土」6割増 政府意向を反映

検定意見がついた記述

 文部科学省は18日、2017年度から主に高校1年生用に使われる教科書の15年度検定結果を公表した。竹島(島根県)や尖閣諸島(沖縄県)など領土に関する記述の分量は「地理歴史」「公民」の教科書全体で現行より6割増えた。また、日中戦争で起きた南京事件など近現代史の記述に対し計5件の検定意見がつき、教科書会社が表記を変更した。集団的自衛権や安全保障に関連する記述でも細かい検定意見が目立ち、政府の意向を反映した教科書になった。

 地理歴史、公民については教科書編集の指針になる学習指導要領解説を文科省が14年1月に改定し▽竹島、尖閣諸島は「固有の領土」である▽尖閣諸島に領有権問題は存在しない▽竹島については日本が平和的解決に向けて努力している−−ことを理解させることが必要になった。これを受け、北方領土も含めた領土の記述の分量が現行より1.6倍増になった。

 また、いわゆる「自虐史観」を問題視する自民党の要望もあり、文科省は14年1月に検定基準を改正し▽近現代史では通説的な見解がない数字を記述する場合、そのことを明示する▽閣議決定など政府の統一的見解に基づいた記述をする−−ことが必要になった。これに基づき、日中間に相違がある南京事件の犠牲者数など計5件の記述に検定意見がついた。いずれも日本史で各社が修正した。竹島、尖閣諸島の記述に対する検定意見は計25件に上った。

 一方、集団的自衛権の行使容認について説明する記述の表題「第9条の実質的な改変」に「あくまでも憲法9条の枠内。平和主義の論調が抜本的に改変されたと誤解される」との検定意見がつき、表題は「自衛隊の海外派遣」に変わった。また、憲法改正手続きに関する脚注で、憲法解釈変更を「解釈改憲と呼ぶ」とした記述が「批判するさい、解釈改憲という言葉が使われる」と修正されたり、安倍政権が掲げる「積極的平和主義」を説明する記述について「説明が不十分」として詳細な内容に書き換えられたりした例もあった。

 東日本大震災に関しては、合格した全教科書のうち約51%の123点で記述があった。現行は約34%だった。約31%の75点が東京電力福島第1原発事故に触れた。

 教科書検定は小・中学校、高校の学年ごとにほぼ4年に1度実施される。高校1年生用は前回が11年度。今回は国語や数学など全10教科について244点の申請があり、242点が合格した。残り2点は英語で、出版社が申請を取り下げた。【三木陽介】

 【ことば】教科書検定

 民間の出版社が作った教科書を国がチェックする制度。学校教育法は検定に合格した教科書を使うよう定めている。文部科学省の職員「教科書調査官」が記述内容が適切か、誤記がないかを調査し、大学教授や教員らで構成する「教科用図書検定調査審議会」が検定基準に照らして審査する。検定基準には各教科共通の条件として▽教育基本法が掲げる教育の目標に一致している▽学習指導要領が示す学習内容を不足なく取り上げている▽特定の事項に偏ることなく全体として調和がとれている−−などがある。教科ごとの個別の条件も定める。

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