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自白の「信用性」焦点 遺体状況と差異

公判で再生された主なやり取り

 栃木県日光市(旧今市市)で2005年、小学1年の女児(当時7歳)を連れ去り殺害したとして、殺人罪に問われた勝又(かつまた)拓哉被告(33)の裁判員裁判で、宇都宮地裁(松原里美裁判長)が18日に証拠採用した5通の自白調書には、事件の詳細な状況や動機に関わる供述が含まれている。物的証拠が乏しい中、今後は自白の内容が真実かどうかという「信用性」に焦点が移る。

     被告側は、暴力や暴言のある厳しい取り調べが行われたなどとして、自白に任意性はなく、証拠採用すべきではないと主張していた。これまでの公判では取り調べの様子を記録した録音・録画が再生されており、その様子から任意性があると判断されたとみられる。

     採用された自白調書には「左手で(女児の)右肩を押さえて胸の辺りを10回ぐらい刺した。『何回も刺せば死んでくれるんじゃ。苦しませないように』と思っていた」などと状況や心情が記載されている。また、05年12月2日午前0時ごろに女児を車の助手席に乗せて自宅を出た▽茨城県常陸大宮市の林道に車を止め、女児の肩をつかんで立たせ、同午前4時ごろに胸をバタフライナイフで10回程度刺して殺害した▽遺体を斜面に投げた−−との被告の説明が含まれている。「事件2、3年前から女の子に興味があった」とも供述していた。

     ただ、遺体を司法解剖した本田克也・筑波大教授は、弁護側証人として出廷した際、傷口の状況から女児はあおむけに寝た状態で刺されたと指摘。さらに遺体の直腸温度の低下状況などから分かる死亡推定時刻と自白内容の殺害時刻が合わないなどと証言しており、自白と遺体の状況に食い違いがある。こうした差異が自白の信用性の判断に影響を与える可能性がある。

     18日の公判では、女児の母親の姉が検察側証人として証言台に立ち、「極刑を望みます」と述べた。すると、勝又被告は女性に向かって「殺してません」と発言し、弁護人に制止される場面もあった。女児の母親は勝又被告が殺人容疑で逮捕された後、死去している。

     勝又被告は無罪を主張しており、判決は31日に言い渡される。【野口麗子、田中友梨】

    信用性認定の可能性大

     元検事の平尾覚弁護士の話 検察側が想定した録音・録画の効能が発揮されたのではないか。「任意性がある」とは、自由な意思に基づいて自白したということ。今後自白の信用性が問題になり得るが、自由な意思に基づいて「殺した」と自白したのであれば、殺害したという自白の根幹部分の信用性は認められる可能性が高いと考えられる。

    内容真実か否かが重要

     裁判員裁判に詳しい森炎(ほのお)弁護士の話 「任意性がある」とは、捜査側に強要された自白ではなかったということに過ぎない。一番重要な点である「自白の内容が真実かどうか」は、今後の審理に残されている。録音・録画は自白の強要があったかどうかの判断には重要な手がかりとなるが、映像だけで人の内面が分かるわけではなく、信用性の判断では重視できない。

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