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SPEEDI 位置づけを明確にせよ

 原発事故時に放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」について、政府の原子力関係閣僚会議は、自治体の裁量で住民避難に活用することを認めた。

     全国知事会の要請を受けての判断だ。知事会の危機管理・防災特別委員長を務める泉田裕彦新潟県知事は「避難計画を作る端緒がつかめた」と、政府の対応を評価した。

     だが、国の原子力安全規制を担う原子力規制委員会は、住民避難にSPEEDIは使わないと決めている。予測は信頼性が低く、活用は「弊害が多い」というのだ。

     SPEEDIは役に立つのか、立たないのか。これでは、原発周辺の住民は戸惑うばかりだろう。事故時に規制委と自治体の判断が分かれ、避難を巡って無用の混乱を招く事態が生じないか、心配になる。

     SPEEDIは放射性物質の放出量や時期、気象条件などから、放射性物質の拡散範囲や大気中の濃度を予測する。しかし、東京電力福島第1原発事故では放出量などが分からず、正確な予測はできなかった。

     このため、規制委が改定した原子力災害対策指針では、緊急事態が生じたら、原発5キロ圏の住民は放射性物質放出前でも避難すると定めた。5〜30キロ圏の住民は屋内退避させると共に、現地で放射線量を実測して避難の必要性を判断する。

     放射性物質の放出時刻を正確に予想する技術はまだない。仮定を置いた計算では、実際に放出が起きた時と風向きが違うかもしれない。事前予測に信頼性はない、という規制委の指摘は理解できる。

     一方、東電柏崎刈羽原発を抱える新潟県は、原発事故と地震などの自然災害が重なれば、道路の寸断で即時避難は難しいと懸念する。こうした場合、SPEEDIの予測と実測値を併用し、避難経路などを検討することは有用だと考えているのだ。

     日本気象学会も、緊急時にはSPEEDIなどの予測データを活用すべきだと規制委に提言している。

     SPEEDIの信頼性はどこまで高められるのか。放射性物質の放出後に活用することはできないのか。政府は自らの責任で、SPEEDIの活用方法について、位置づけを明確にすべきだ。

     柏崎刈羽原発の安全審査は大詰めを迎えている。再稼働には泉田知事の同意がいる。今回の活用容認は経済産業省が主導しており、泉田知事の主張に配慮したようにも見える。

     事故時の避難計画が安全審査の対象外で、自治体任せになっていることが、規制委と知事会の見解の相違の背景にある。政府は、避難計画も一元的に責任を負うべきだ。

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