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日銀政策委員会 政権との一体化憂える

 このままでは、活発な議論が失われ、ますます一方向へ突き進むことにならないか。日銀の最高意思決定機関である政策委員会の人事から、そんな懸念が膨らむ。

     政府は今月上旬、月内で5年の任期が終わる白井さゆり審議委員の後任人事案を国会に提出した。日本輸出入銀行(現・国際協力銀行)出身のエコノミスト、桜井真氏だ。

     なぜ桜井氏が選ばれたのか、国民には知る材料がない。政府は国会の各会派に資料を提示しているが、「あくまで国会での審査のために作成した」(内閣官房)といい、一般には開示されないのだ。

     限られた情報から浮かび上がるのは、黒田東彦総裁のもとで始まった異次元緩和策に賛同する政治家や学者に近く、総裁の路線を支持する可能性が高いというものである。

     日銀の政策委員会は、総裁と2人の副総裁、それに6人の審議委員の計9人で構成される。安倍政権による政策委員会人事は政権発足直後の正副総裁選びに始まり、今回の桜井氏で6人目だ。再任がなければ、来年7月までに、残る3人もすべて交代となる。

     全員が、アベノミクスを支える黒田総裁に「右へ倣え」の政策委員会となればどうなるのか、と危惧せずにはいられない。マイナス金利の導入を突然決めた1月末の金融政策決定会合は、賛成5対反対4と割れたが、賛成派の全員が安倍政権、反対派の全員が安倍政権前の人選でそれぞれ就任した委員だった。

     約3年前、黒田総裁下で始まった異次元緩和は、これから極めて重要な局面にさしかかる。現在の極端な緩和策は限界に近い。もし目標の物価上昇率2%が達成されれば、異次元緩和を徐々に縮小し、平時の金融政策へ戻す困難な作業が待っている。いずれにせよ、近い将来、政策の変更を迫られる可能性が高い。

     異次元緩和の推進派だけで構成する政策委員会に、果たして適切な軌道修正ができるだろうか。

     政策委員会については、他にも気になることがある。これまで白井氏ただ一人だった女性の委員がゼロとなる。また、米英の中央銀行では、政府や中央銀行、民間金融機関や大学教授などを歴任した人材が多いが、日銀の場合、中央銀行の実務経験がある政策委員会委員は1人で、エコノミスト出身者が5人と比重が大きい。

     9人の識者が、政治家を含め誰からの介入も受けることなく、独立して決断を下す。多様な経歴と考え方を持つプロが率直に意見を戦わせる。だからこそ、大きな判断ミスを回避しやすくなる。一枚岩の政策委員会は危ういということを、安倍政権も国会も認識すべきだ。

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