雪の積もった火山が噴火すると、熱で溶けた雪が土砂を巻き込み、高速の泥流となって山麓(さんろく)を襲うことがある。「融雪型火山泥流」と呼ばれ、北国に火山の多い日本では警戒が必要だ。
北海道中央部の十勝岳(2077メートル)ふもとの上富良野町草分地区。神社の一角に90年前に起きた融雪型火山泥流の被害を伝える石碑がある。刻まれているのは小説家、故三浦綾子さんの代表作「泥流地帯」の一節だ。
<泥流が釜の中の湯のように沸(たぎ)り、躍り、狂い、山裾の木を根こそぎ抉(えぐ)る。(中略)家が流れ…
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