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太地町に11万円支払い命令

オーストラリア人のサラ・ルーカスさん提訴

 和歌山県の太地町立くじらの博物館が、捕鯨反対を理由に入館を拒否したのは、人種差別や思想・良心の自由の侵害にあたるなどとして、オーストラリア人のサラ・ルーカスさん(31)が町に慰謝料など約330万円を求めた訴訟の判決で、和歌山地裁(橋本真一裁判長)は25日、町に11万円の支払いを命じた。橋本裁判長は「入館拒否は博物館の管理の支障を考慮したもので、思想を理由としたものではない」として、憲法違反や差別であるとの主張は退けた。

     博物館は2014年2月、同館を訪れたサラさんらに「捕鯨反対の方は入館できません」などと英語と日本語で書いたプラカードを提示した。サラさんは「不当な差別で思想・良心の自由などの侵害」と主張。町側は「原告は入館拒否の4日前に館内で無断撮影をしており、迷惑行為を避けるためだった」と請求棄却を求めていた。

     判決は「博物館の管理に支障が出るという具体的な恐れはなく、原告が博物館の情報にアクセスする自由を妨げた」として、入館拒否を違法と認定した。一方、サラさんらが入館拒否の場面を撮影しようと試みたことを提訴に向けた行動と認め、「反捕鯨思想の宣伝を意図しており、(入館できていなくても)精神的損害は小さい」と判断した。

     判決ではこのほか、プラカードに書かれた内容を批判。「思想・良心による不利益取り扱いを記載したもので、憲法上問題がある。入館を拒否する場合をより正確に示すものに改める必要がある」とした。さらに、博物館側の取材許可の判断についても、「公権力が(情報の内容が伝達されることによる)効果を見積もって、管理の支障として考慮することは原則として許されない」「取材の上で発信される情報の内容を理由に拒否したならば違憲・違法の疑いが強い」と指摘した。

     サラさんは「判決を評価している」、三軒一高町長は「町の主張は十分認められたと考えている」と話した。【道岡美波、藤原弘】

     博物館など公共空間について詳しい関西大社会学部の村田麻里子准教授の話 プラカードに「捕鯨反対の方」という思想を特定する文言を盛り込んだ対応には問題があった。太地町に反捕鯨の活動家を含む多くの外国人が訪れるのは今後も避けることができないので、そこで萎縮せず、むしろ対話する姿勢を展示やスタッフで示すことが求められる。博物館を「町文化を発信する一種のメディア」としてとらえ、判決を機に館の在り方について戦略を練るべきだろう。

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