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「今も差別」77% 療養所入退所者調査

緑豊かな多磨全生園=東京都東村山市で2015年5月28日、山田麻未撮影

 ハンセン病患者の強制隔離を定めた「らい予防法」の廃止(1996年4月)から20年になるのを前に、毎日新聞は療養所の入所者と退所者を対象にアンケートを実施した。法廃止後の周囲の状況については、入所者、退所者とも過半数が「ほとんど変わらない」と回答した。治る病気であるにもかかわらず全体の77%が「病気への差別や偏見がいまだにある」としており、社会の理解が十分に得られていないことがうかがえる結果となった。

 厚生労働省によると、13ある国立療養所の入所者は1644人(2015年11月末現在)。大半は病気が完治している元患者で、平均年齢は83・9歳(同年5月現在)と高齢化している。全国ハンセン病療養所入所者協議会によると、入所者の4人に1人が認知症だという。また、国が生活支援で支給する「給与金」を受け取っている退所者は1115人(15年末現在)。

 毎日新聞は療養所のうち入所者100人以上の多磨全生園(東京都)▽長島愛生園(岡山県)▽邑久光明園(同)▽菊池恵楓園(熊本県)▽星塚敬愛園(鹿児島県)▽沖縄愛楽園(沖縄県)の入所者に自治会などを通じてアンケートを行い計570人から回答を得た。社会復帰した退所者の全国組織を通じた調査でも119人から回答を得た。

 入所者の75%、退所者の89%が今も差別や偏見があると回答した。法廃止後も周囲の変化が「ない」とした入所者は52%、退所者は57%だった。入所者の17%、退所者の21%が法廃止後、自身や家族・親族が地域で不快な思いをしたり、結婚に反対されたりするなどの差別を受けたとした。

 療養所の入所者のうち、63%は介護を必要とする「不自由者棟」で暮らし、「一般軽症者棟」にいる人は31%だった。「今、不安に感じていること」(複数回答)は「療養所内に友人、知人が少なくなり孤独を感じる」(45%)▽「医療や介護の内容に満足できない」(40%)▽「死亡後の配偶者の将来」(21%)−−の順に多く、高齢化に伴う問題が目立った。将来的に療養所を保存すべきかどうかについては、43%が必要、28%が不要と答えた。

 一方、退所者に対するアンケートでは、60%が自身の病歴を「家族に知らせている」としたが、「家族にも知らせていない」と答えた人も9%いた。「不安に感じていること」(複数回答)では「自分や家族が介護が必要になった時の対処」が53%と最多で、「死亡後の配偶者の将来」(39%)、「病歴を知られること」(34%)と続いた。

 「かなえてみたいこと」(複数回答)については「病歴を隠さずに生きたい」と答えた人が44%に上った。将来的に療養所に再入所する可能性については11%が「考えている」と回答した。50%は条件付きで検討しているとし、自分の住む地域で充実した医療や介護が望めないと感じている人が多いことがうかがえた。【まとめ・坂本高志、江刺正嘉】

 【ことば】ハンセン病

 らい菌による慢性の細菌感染症で、末梢(まっしょう)神経のまひや皮膚のただれなどが出る。感染してもほとんど発症しない。戦後、治療薬が普及し、現在、国内の新規患者はほとんどいない。完治する病気になった後も、患者を療養所に強制的に収容する隔離政策が1996年のらい予防法廃止まで続いた。

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