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川内原発

差し止め認めず 新規制基準「不合理と言えず」

仮処分申請の抗告審で差し止めが認められず、「不当決定」「私達は屈しない」の垂れ幕を掲げる弁護士ら=宮崎市で2016年4月6日午前10時37分、矢頭智剛撮影
川内原子力発電所=鹿児島県薩摩川内市で2015年10月、本社ヘリから矢頭智剛撮影

 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めの仮処分を地元住民らが求めた即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎<ともいちろう>裁判長)は6日、同原発が「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理とはいえない」として、住民側の申し立てを棄却する決定を出した。関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転停止を命じた3月の大津地裁決定に続き、稼働中の原発の運転差し止めを巡る2例目の判断(高裁段階では初)として注目されたが、司法の結論は分かれた。住民側は抗告し、最高裁の判断を仰ぐか検討する。

 即時抗告審の主な争点は、(1)原発の耐震設計を考える際に基準となる基準地震動(想定する地震の最大の揺れ)の適否(2)火砕流を伴う火山の破局的噴火による危険性の有無(3)周辺自治体が策定した避難計画の実効性−−の3点だった。

 他の原発審理でも大きな争点となっている基準地震動について、住民側は、基準地震動を超える地震が2005年以降、国内の四つの原発で計5回観測されているにもかかわらず「限られた過去の地震動を基に平均像で策定する手法は見直されていない」として、「想定すべき地震として不適切」と主張。これに対し、九電側は「地域特性を踏まえ、余裕を持って評価している」と訴えていた。

 火山の危険性については、住民側は「原子力規制委員会の審査には多くの火山学者から異論や批判が出ている」とした上で、「破局的噴火の可能性が低いとはいえない。兆候を把握する知見も確立されておらず、モニタリングにも実効性はない」と指摘。九電側は「破局的噴火には周期性があり、次の噴火まで約6万年あるため、発生する可能性は十分小さい」と反論していた。

 避難計画を巡っては、原発5キロ圏の住民が避難した後、5〜30キロ圏の住民が空間放射線量に応じ避難する「段階的避難」や、風向きに応じて避難施設を調整するシステムに実効性はないとする住民側に対し、九電側は「放射性物質はすぐに拡散しないため合理的」などと主張していた。

 川内原発は14年9月、原子力規制委の新規制基準の適合性審査に全国で初めて合格。昨年8月に1号機、同10月に2号機がそれぞれ再稼働した。3月の大津地裁の決定で、高浜原発が運転を停止したため、国内で稼働する唯一の原発となっていた。

 仮処分申請は、鹿児島地裁で係争中の運転差し止め本訴訟の原告団に名を連ねる鹿児島、熊本、宮崎3県の住民23人が14年5月に鹿児島地裁に申し立てた。地裁は昨年4月、「新規制基準に不合理な点は見いだせず、(稼働で)住民の人格権が侵害される具体的危険性もない」として却下。住民側の12人が同5月、高裁宮崎支部に即時抗告していた。【杣谷健太、吉住遊】

◇福岡高裁宮崎支部の決定骨子

・新規制基準は不合理とはいえず、川内原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委の判断も不合理といえない

・川内原発が火山の影響に対する安全性の確保の観点から立地不適ではないとした原子力規制委の判断も不合理ではない

・住民らが生命、身体に重大な被害を受ける具体的危険が存在しないと、九電は相当の立証を尽くした

・現在の避難計画の下で川内原発を運転することで、住民らの人格権を侵害する恐れがあるとはいえない

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