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90歳が入学…英語学び外国人助けたい 北九州

点呼で名前を呼ばれあいさつする筒井さん=北九州市小倉南区の城南中で2016年4月7日午後7時20分、比嘉洋撮影

 戦争や貧困で教育を十分受けられなかった人たちが学ぶ北九州市小倉南区の自主夜間中学「城南中学校『夜間学級』」で7日夜、始業式があり、90歳の筒井平一郎さん=小倉北区=が新入生として入学した。目標は「英語を学んで、日本に来て困っている外国人の助けになる」ことだ。

     前から5列目の席に着いた筒井さんは、点呼で名前を呼ばれるとやや緊張した様子で立ち上がった。「まだ気持ちが落ち着かんようです。どうかよろしくお願いします」

     筒井さんは戦時中、福岡県八幡市(現・北九州市)の八幡製鉄所で働きながら旧制中学の夜間部に通ったが、陸軍に志願し中退。約3年間の軍隊生活を経て19歳で終戦を迎え、戦後は再び八幡製鉄所で働いた。その後、鉄工所も経営したが、再び教育を受ける機会はなかった。

     戦時中、製鉄所で飢えに苦しむ英語圏の外国人捕虜に、ゆでた大豆を新聞紙に包んでこっそり渡すと「サンキュー」と笑顔を向けてくれた。うれしくて別の捕虜にも渡したが、英語を学んでおらず、その先の会話はいつも途切れてしまった。

     あれから70年。昨年冬に妻フサ子さんが他界し、ふと「もう一度勉強したい」との思いが込み上げた。英語を学びたいのは、あの時続かなかった会話が心残りだったからだ。

     始業式があった7日夜、休憩時間にも「『グッドナイト(おやすみ)』はどう書くんだっけ」と自問しながら真新しいノートに英単語を繰り返し書き写していた。「1人暮らしの寂しさに負けないように、目標を持って生きていたい」。新しい一歩を踏み出した。

     城南中の一角にある「夜間学級」は、元教員らのボランティアが市教育委員会の補助を受けながら自主運営している。平日は毎日授業があり、30〜90代の生徒19人が学ぶ。2010年国勢調査によると、小学校に十分通っていない「未就学者」は全国に12万人以上いる。【比嘉洋】

    ◇夜間中学◇

     全国夜間中学校研究会(事務局・東京)などによると、運営形態は主に「公立」とボランティアなどの民間による「自主」がある。公立夜間中学は2月現在、首都圏、関西圏を中心に8都府県の32校に限られ、九州・山口は1校もない。自主夜間中学は15都道府県に29カ所あるが、学びたくても近くにないために通学できない人は多いと考えられている。2014年5月、下村博文文部科学相(当時)は国会で「各都道府県に1校以上の設置が必要」と答弁しており、政府は需要の調査を進めている。

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