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新造船投入続々 狙いは一般客・運送業者

フェリーおおさか2。総トン数は1.5倍に増えた=北九州市門司区で2016年3月29日

 関西を発着する長距離フェリー航路に、新造船が相次いで投入されている。かつては「大部屋に雑魚寝」のイメージだったフェリーの旅だが、個室の増設や内装のグレードアップで快適さをアピール。飛行機や新幹線とは異なる魅力を強調し、新たな客層の取り込みを図る。運転手の確保に悩むトラック運送業界で、フェリーを活用した輸送が見直されているという事情もある。

     新船は昨年、大阪と北九州を結ぶ「阪九フェリー」(北九州市)と「名門大洋フェリー」(大阪市)が相次いで2隻ずつを導入。2018年には「フェリーさんふらわあ」(神戸市)も大阪−鹿児島・志布志(しぶし)間に2隻を就航させる。

     共通の特徴は個室の増加だ。名門大洋フェリーは42室から102室へと大幅に増やし、大部屋定員を262人から40人に減らした。「昔は『他の客と仲良くなりたい』と大部屋を選ぶ若者もいた。今はプライバシーを確保したい人がほとんど」(同社)という。

     豪華客船に負けない施設やサービスも取り入れた。名門大洋の内装は女性のデザイナーが担当し、さんふらわあはスイートに専用バルコニーを付けたり、音楽の生演奏をしたりと優雅な旅を演出。阪九は露天風呂も設けた。陸上と同じネット環境を備える。

     日本長距離フェリー協会(東京都)によると、ピークの70年代には年間約500万人を運んだフェリーも、高速道路網の整備で近年の利用者数は半分以下に。そんな中での相次ぐ新造船投入は、運送業界のフェリー回帰が大きかった。

     12年の関越自動車道バス事故を契機に、国土交通省は決められた勤務時間を守るよう運送業者への取り締まりを強めた。大阪商業大の松尾俊彦教授(物流論)は「トラック運転手の不足は過酷な長時間勤務でカバーされてきた実態があった。それが難しくなり、休息を取れる船にシフトしている」と分析。国交省内航課は「運送業界の需要増加が新造船投入の機運を高めた」とみる。

    ドライバールーム。個室化され、テレビもある

     新船では各社ともトラックの収容台数を増やし、運転手用の部屋はすべて個室化した。一般客と運送業者、両者の要望に応えていくことが、今後の「針路」になりそうだ。

    乗ってみた 揺れない、疲れない

     今時のフェリーの乗り心地は?−−大阪南港を出発し新門司港に向かう名門大洋フェリーの新造船「フェリーおおさか2」(1万4920トン、定員713人)に乗ってみた。

     「おおさか2」は同社が約60億円を投じて建造、昨年9月に就航した。大阪と北九州の約458キロを12時間半かけて結ぶ。

     午後8時前、船内に入った。明るく清潔なエントランスホールの中央には吹き抜け階段があり、開放的な雰囲気だ。客層も家族連れ、若い女性、高齢の団体客と幅広い。

     予約したのはツインの部屋。幅の広いベッド2台にソファもある。他をのぞいてみた。二段ベッドには、はしごが見当たらない。階段を数段上って入る方式に変わっていた。より個室感覚で過ごせるように、という工夫を感じる。

    レストランでバイキング形式の夕食を楽しむ乗客

     夕食はバイキング。和洋中30種類ほどが並び、次々と温かい料理が追加される。まるでホテルのレストランのよう。デッキに出ると漆黒の海上に満天の星。船旅ならではの非日常感で旅の実感が湧く。

     関西観光からの帰りという福岡県古賀市の会社員、平原英樹さん(42)は愛車とともに乗り込んだ。「帰りも車だと大阪でもう1泊必要。高速代や燃料代もかかる」。最も安い部屋だと運賃は約6000円で新幹線の半額以下。時間に余裕があれば、この価格は魅力だ。

     明かりを落とした展望ラウンジでゆっくり海を眺める。揺れはほとんど気にならない。部屋に戻ると、すぐ眠りに落ちた。午前8時半には到着。すがすがしい1日の始まりを迎えられた。【安高晋】

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