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危険建物 判定進まず 8自治体は未着手

応急危険度判定結果の赤い「危険」の紙が張られた家屋=熊本県益城町で2016年4月21日午後5時1分、兵藤公治撮影
熊本地震被害状況=22日午前0時現在

1週間 避難者1000人以上の熊本12市町村のうち

 熊本地震による避難者が1000人以上(21日午後1時半現在)いる熊本県内の12市町村のうち、被災した建物の安全性を判定する「応急危険度判定」を開始したのは4市町村にとどまることが21日、毎日新聞の調べで分かった。判定は地震から10日以内に完了するのが目安だが、3分の2に当たる8自治体は未着手のままで、実現は不可能な状態だ。損壊した建物に住民が戻り、余震によって被災する2次災害を防ぐための制度が、有効に機能していない実態が明らかになった。【門田陽介、林由紀子、川上珠実】

 判定は建築士らが被災した建物を調査し、危険、要注意、使用可能(調査済み)の3段階に分け、入り口に紙を張り付けるもの。毎日新聞は最初の地震から1週間に当たる21日、12自治体の担当者に取材した。その結果、判定に着手できているのは、熊本市▽宇城(うき)市▽益城(ましき)町▽西原村。一方、宇土(うと)市▽阿蘇市▽八代市▽御船(みふね)町▽嘉島(かしま)町▽大津町▽菊陽町▽南阿蘇村の8市町村は開始できていなかった。

 地震による直接の死者が3人の嘉島町はもともと判定士がいない。このため、県に派遣を依頼したところ「重点地域を絞ってほしい」と言われた。「全容が把握できていないので無理だ」と回答すると「被災場所が点在しているなら派遣できない」と拒否された。

 同様に判定士がいない菊陽町は、県から「派遣する時期は答えられない」と言われた。地震による直接の死者がいない阿蘇市が派遣を要請したところ、回答は「被害の大きい益城町が先。2〜3週間はかかる」だった。一方、八代市は「余震が続く間は判定士がけがをする恐れがある」として開始を見送っている。

 実施中の4市町村のうち、途中経過が判明しているのは2自治体。このうち益城町は全体の一部に当たる1518棟の調査をし、このうち828棟を、熊本市はごく一部の346棟を調査し131棟を、それぞれ危険と判断した。

 国や都道府県、業界団体などで作る「全国被災建築物応急危険度判定協議会」(東京)は、被災者が危険な建物に戻って2次災害に遭うのを防いだり、素早く日常生活を取り戻すことを可能にしたりするため、地震の発生から10日以内に判定を終えるよう、各自治体がマニュアルを作成することを求めている。2度目の震度7を観測した16日を起点としても26日ごろが目安だが、見通しのつかない自治体がほとんどだ。

 熊本県によると、判定士として登録されているのは県内に1469人だが、参加しているのは県外からの応援約100人を含めても約150人(20日現在)。無報酬のボランティアで、県の担当者は「判定士自身が被災したり、仕事に追われたりしている。14日以降、2度にわたって大きな地震が起き、市町村の被害の把握も遅れ、派遣のための調整に時間がかかっている。現在、国を通して広域支援を要請しており、4月中の判定終了を目指す」と話した。

早急に実施を

 川口淳・三重大大学院准教授(建築構造学)の話 今回は余震が多いのだから、その分早く判定して2次災害を防がなければならない。能登半島地震や新潟県中越沖地震などは10日程度で判定した。全国には十分な数の判定士がおり、行政に問題があると言わざるを得ない。熊本県は先回りして動くべきで、道路の寸断は理由にならない。

応急危険度判定

 大規模な地震があった際に、被災した建物が余震で倒壊するなどし、2次被害が出るのを防止するため、原則として各市町村が実施し、都道府県が活動を支援する。事前に講習を受けた自治体職員や建築士が建物の外観や内部を確認し、立ち入ると危ない「危険」(赤)▽立ち入り時に注意が必要な「要注意」(黄)▽当面は安全な「調査済み」(緑)−−の紙を入り口に張り付けていく。

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