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緊急事態条項

現場に権限を 国に強い不信感も

東日本大震災 42自治体アンケート

 災害時は国より自治体の権限強化を−−。東日本大震災で被災した自治体の多くが、憲法改正の主要テーマである緊急事態条項の必要性に疑問を呈している。震災を契機に同条項を求める声が高まった経緯があり、自治体の声は憲法改正論議に影響を与えそうだ。【川崎桂吾、関谷俊介】

     毎日新聞がアンケートで緊急事態条項について自由に意見を求めたところ、17市町村が意見を寄せた。

     津波被災地ではがれきが救助を阻んだケースがあり、「私有財産が障害となり救助が遅れた」という主張が同条項必要論の根拠の一つとなっている。

     だが、仙台市は「財産の処分などは現行法で整理が可能」(減災推進課)と回答した。「住民が何で困っているのか、地域において優先課題が何なのかを見ながら、現場が必要な予算や権限を持って行動に移せるようにすることが求められている」としている。

     岩手県野田村も「条項は、震災対応には直接的には影響はないと思う」(総務課)。役場庁舎が津波被害を受けた同県大槌町は、条項があっても「大災害で情報手段が途絶した場合に果たして機能するのか疑問」(危機管理室)と回答した。

     原発事故で避難を強いられている福島県川内村は、原発事故時に放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)を例に挙げた。原発事故直後、国が混乱を避けるためSPEEDIの公表を控えたことを巡り、同村は「国は国益優先、混乱防止、秩序維持のためであれば一人一人の命は後回しになる可能性が高く、正しい判断をするとは限らないことを学んだ」(住民課)と批判。「緊急事態条項よりも、災害救助の実施権限は市町村などの現場に下ろしてほしい」とした。

     回答自治体で唯一、同条項が必要だとした宮城県女川町は、高台移転の際、権利が複雑化し土地取得が困難だったことなどを挙げ、「緊急時や震災復興などスピードが要求される局面で財産権のあり方が現行法制度に位置づけられていない」(企画課)と指摘した。

     岩手県陸前高田市も復興過程で「超法規的対応が可能な制度が必要だ」(企画政策課)としたが、「国に権限を集中させるのではなく、逆に国の権限を都道府県に、都道府県の権限を市町村に移すことを求めたい」とした。

    ・震災の初動対応を振り返り「もっと適切に対処できたのではないか」と感じる場面はあったか。ある/ない

    ・(「ある」と答えた自治体に)その原因は何か(複数回答可)。(1)震災の規模が想定を超えていた(2)法律や制度に不備があった(3)憲法で保障された個人の権利が障害となった(4)その他

    ・<(1)の自治体に>どんな事態が起き、何を想定しておくべきだったか。

    ・<(2)の自治体に>どんな法律や制度がいかなる障害となったのか。

    ・<(3)の自治体に>障害となった事態の解決のために、緊急事態条項が必要だと感じたか。必要だと感じた/必要だと感じなかった

    ・緊急事態条項への意見・感想

    42自治体のうち回答したのは次の通り。

     <岩手県>洋野町▽久慈市▽野田村▽田野畑村▽岩泉町▽宮古市▽山田町▽大槌町▽釜石市▽大船渡市▽陸前高田市

     <宮城県>気仙沼市▽女川町▽東松島市▽松島町▽利府町▽塩釜市▽七ケ浜町▽多賀城市▽仙台市▽岩沼市▽亘理町▽山元町

     <福島県>新地町▽相馬市▽飯舘村▽川俣町▽浪江町▽葛尾村▽双葉町▽田村市▽大熊町▽富岡町▽川内村▽楢葉町▽広野町▽いわき市

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