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嘉例川駅の「ニャン太郎」、観光大使に

山木さんにブラシをかけられるニャン太郎。嘉例川駅にすっかり居着いた=2016年4月10日、津島史人撮影
築113年の嘉例川駅の駅舎。地域の住民らが管理して、全国から訪れる観光客をもてなす=2016年4月10日、津島史人撮影

 1903(明治36)年の開業時の木造駅舎が残るJR肥薩線の嘉例川駅(鹿児島県霧島市隼人町)に、1匹の雄ネコが昨年11月ごろからすみ着いている。「ニャン太郎」と名付けられたネコは人懐こく、観光客の間で一躍人気者に。駅舎を管理する地域の住民らは「招き猫」「神様からのお使い」と大事にし、5日には駅で「嘉例川観光大使」への任命式も開く。【津島史人】

     国の登録有形文化財となっている嘉例川駅には、列車や乗用車などで大勢の観光客が訪れる。黒ずんだ重厚な駅舎の待合室。かつて荷物の発送に使っていた棚の上、地域住民の整えた「ベッド」に、タヌキのような顔立ちが特徴のニャン太郎が横たわる。

     子供たちはニャン太郎ののどや背中をなで、大人は手持ちのカメラで写真を撮る。4月10日、熊本市から家族旅行で訪れた小学5年の笹山百合菜さん(10)は「ネコは家で3匹飼っていて、とても好き。ニャン太郎は、おとなしくてすごく可愛い」と笑顔を見せた。

     築113年の駅舎や周囲を清掃し、季節の花などで観光客らをもてなすのは、地域の住民らでつくる嘉例川地区活性化推進委員会。委員長の山木由美子さん(68)によると、ニャン太郎がどこから来たのなどは全く不明。駅に来た当初は「すぐに出て行くだろう」と思ったそうだが、「居心地が良いのか」居着いたという。ベッドにする箱や底に敷く毛布がいつの間にか増え、首輪も誰かが付けた。

     最初は住民らがそれぞれ好きな名で呼んでいたが、山木さんの「ニャン太郎」がいつの間にか定着した。朝は委員会メンバーの一人が餌を与え、夕方は山木さんがカイロなどを用意する。今ではニャン太郎をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信する観光客も増え、宮崎県から毎週、ニャン太郎目当てに訪れる人もいるという。

     山木さんの願いは、ニャン太郎に「駅長」の肩書を与えることだが、人間の名誉駅長がいるため今はかなわない。「みんなに愛される存在で、駅と地域に活気を与えてくれる」ニャン太郎は5日、委員会から「嘉例川観光大使」に任命される。

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