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インドネシアの教科書に 環境の大切さ

教科書では、図や写真を用いて、イタイイタイ病の歴史が紹介されている

 インドネシアの小学4年生が9月から、イタイイタイ病の歴史を記した教科書で環境の大切さを学び始める。富山大人間発達科学部教授(近現代日本経済史)で、同大学付属小学校長の根岸秀行さん(62)は、この教科書作りに携わった一人だ。「イタイイタイ病の教訓を世界へ」。地元で15、16両日に開かれる主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)の環境相会合に期待を寄せる。

     教科書を使うのは首都ジャカルタのベッドタウンとして発展する南タンゲラン市。ジャングルを切り開いてできた人口100万人超の大都市では、埋め立て処理したごみによる土壌や水質汚染などが進む。ごみであふれる川の様子は、高度成長期で公害病が表面化し始めた60年前の日本とも重なるという。

     根岸さんが理事を務める富山市のNGO「インドネシア教育振興会」は2000年から、学校建設など南タンゲラン市への教育支援を続けている。現地で環境教育への意識が高まるなか、14年から教科書作りのプロジェクトが始まった。

     当初は日本のごみの分別などを中心に取り上げる予定だったが、根岸さんは「近代化の負の部分を次世代に伝えなければならない。子供たちがイタイイタイ病の歴史を知れば、悲惨な体験は繰り返さない」と提案した。教科書を執筆する現地の大学教授らを招き、富山市の富山県立イタイイタイ病資料館を案内するなどした。

     今年3月完成した教科書は、全136ページ中3ページをイタイイタイ病に割いた。神通川流域がカドミウムで汚染され、住民が簡単に骨折する病気になったことや、田んぼなど土壌の復元に33年と407億円を要した歴史を、当時の写真や患者の分布図などとともに紹介する。9月にまず市内30校の小学4年生約3000人が手にし、来年7月からは市内全約300校約10万人に広げていく。

     G7環境相会合の出席者も、イタイイタイ病資料館の視察を予定する。根岸さんは「過去に日本で起きた公害は途上国でも起こりうる。先進国として伝える義務がある」と語り、教訓を世界に発信してほしいと期待している。【古川宗】

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