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労働相談1万2000件 「失業給付」が過半数

熊本地震被害状況=17日

 熊本地震後に、熊本県内にある10カ所のハローワークと6カ所の労働基準監督署に寄せられた、地震に関する労働相談が約1万2000件に達したことが、熊本労働局への取材で分かった。職を失った労働者らに支払われる「失業給付」に関する相談が過半数を占める一方、事業者が休業中の従業員に支払う「休業手当」に絡む相談も約2割あり、労使双方の苦悩ぶりを裏付けた。地震の影響で実際に離職した人も少なくとも568人おり、雇用への影響が広がりを見せ始めている。

 同局によると、地震発生後の4月15日〜今月16日、窓口や電話による相談件数は全部で1万1961件。各地の労働局によると、東日本大震災(2011年3月11日)発生後の宮城県は約1万9000件(11年3月16日〜4月13日)、岩手県は約2万1000件(11年3月14日〜4月22日)。集計の期間や、何を「相談」と位置づけるかなど手法が同一でないため単純比較はできないが、宮城、岩手両県の約半数にあたる。1万1961件の相談を分析すると、失業給付に関する相談が6517件と約54%を占めた。

 今回の地震に伴う特例措置で、通常は将来同じ勤務先に再就職する約束のない退職者にしか支払われない失業給付が、休業中や、一定期間後に再就職する約束があっても払われる。特例措置を実際に利用している人は568人。休業ではなく解雇の場合、この措置の対象にはならないため、地震による離職者の総数はさらに多いとみられる。【神足俊輔】

「生活が成り立たない」

 熊本地震による「職」への不安が顕在化してきた。熊本市のハローワークには17日も多くの相談者が集まり、待ち時間は2時間以上に。「新たな職を探さなければ」。訪れた人々からは切実な声が漏れる。一方、事業者向け説明会に参加した経営者も「借金をして給与を払っている」と話し、被災地の苦悩は日増しに強まっている。

 「2時間以上待ち」。17日午後、熊本市中央区の「ハローワーク熊本」に看板が立てられ、失業給付を申請する窓口に人があふれた。大型連休前後から来所者が急増しており、担当者は「こんなに忙しいのはリーマン・ショック(2008年)以来」と話す。対応するため、厚生労働省は9日以降、県外から応援職員を派遣している。

 熊本市東区の男性(52)は同市中央区にある勤務先の飲食店が入居するビルが被災。解体されることになり、職を失った。県外の大学に通う三女の学費など、出費もかさむ。失業給付の申請を終えると、「どんな手段でも職を見つけたい。何とかしないと生活が成り立たない」とうつむいた。

 同市南区で写真館を経営する男性(42)は16日の説明会に訪れた。地震後、3人の従業員の給与を賄うため借金もした。【神足俊輔】

行政は状況把握を

 熊本学園大の荒井勝彦特任教授(労働経済学)の話 今回の地震では、熊本市周辺という県内の経済の中心部が被災した。雇用されている人の割合が高く、相談件数の増加につながったのではないか。被災地での出張相談など行政は状況把握に努めるべきだ。

 【ことば】失業給付と雇用調整助成金

 失業給付は、離職者の生活を保障するため雇用保険から支給。災害救助法適用地域の事業所で、災害により一時的に離職を余儀なくされた場合、事業再開後に再雇用する予定があっても給付対象となる。一方、雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が従業員に休業手当を払って雇用を維持する場合、助成する制度。熊本地震の特例措置で、助成率を引き上げたほか、新入社員など雇用期間が半年未満の従業員も対象にしている。二つを同時に利用することはできず事業者が労働者の意思を確認したうえで選択する。

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